書けない理由
当初、好きな街というタイトルを考えたとき、私は気楽に考えていた。しかし、京橋の次の街をいざ書こうとしたら、書けなくなってしまった。一つには、私の行動範囲が、特定の街に偏っていることだ。銀座と京橋は、他の街に出かけたときでも行きか、帰りに立ち寄ることが多い。それは、若い頃に有楽町の近くのビルで勤務していたことと関係があると思う。銀座や京橋は、昼も夜も身近な街だった。銀座も裏通りに入れば、昔でも安いお店があった。
秋葉原も結構、行くことが多い。しかし、秋葉原が好きな街かと聞かれたら、ノーと答えざるを得ない。秋葉原に行くのは、電気街を物色するのが目的であり、行きつけのカフェやランチに立ち寄る先もない。秋葉原は、安さとボリュームを売りにする店が多いように思う。テレビの大食いをテーマにした番組にはかなり抵抗感がある。ただ実際には、私の知らないいいお店も沢山あるだろう。
私が好きな街は、結局、落ち着きとくつろぎを与えてくれる街のように思う。探せば、それなりにあるように思うのだが、行動範囲が狭いため好きな街として紹介できる数は、よくよく考えてみると少ないように思う。京橋の次は、最初から神保町を書こうと思っていた。しかし、最近、用事でお茶の水駅周辺に立つち寄る機会は多いが、神保町まで足を伸ばすことが少なくなっており、好きな街として書くには情報の更新が必要だとということに気づいた。それで最近、神保町に行ったのでそのわずかな情報更新と過去の記憶を基に記事を書くことにした。
JRお茶の水駅からの散策コースの途中
私の好きな散策コースは、JRお茶の水駅から明大通りを下り、駿河台下で右折して靖国通りを九段下まで歩くコースだ。神保町は、その散策コースの途中にある。私とこの散策コースの付き合いは、学生時代からだから40年以上になる。だから、現在と大学時代のこの街の違いを私は知っている。昔の風情も残っているが、新しい建物ができたり、なじみの建物がなくなったりしている。かつて私の好きだった街のイメージが少し変質してしまっており、それが、この記事を書くことの躊躇の原因の一つにもなっていた。
神保町のイメージの変質
昔は、明大通りには、中央大学や法政大学もあった。そして主婦の友社があり、同じビルの2階にあった中華料理店にときどき行っていたことを思い出す。名前はもう覚えていない。最近は、神保町の本屋(古本屋ではない。)も元気がないように思う。私は、品揃えの豊富な書泉が好きで欲しい本があるとよく本を探しに行った。しかし、最近は、売れ筋でない本の取り扱いを中止していたりする。ネットを使い、アマゾンで注文すれば、早ければ翌日には、買いたい本が届く時代になっており、これはこれで仕方ないことなのだろう。
ビアレストランの「ランチョン」
神保町の有名なビアレストラン「ランチョン」は、火事で建て替えられる前は1階が店舗だったことを知っている人はどれだけいるだろうか。昔は、ドアを開けると薄暗いが、雰囲気のある店内でおいしいビールを飲んだことを覚えている。建て替え後、何回か、通っていたが、店が2階になり、明るいレストランになってからはいつしか足が遠のき、いつの間か行かなくなってしまった。無論、その後も店の前を数え切れない程通り過ぎたが、ついぞ入っていない。そのうち、店に行って、「迷ったら」のコーナーに入れたいと考えている。
この街は、大学が開いてる日中は、学生の街という感じが強い。ランチタイムは、中華料理店、ラーメン屋、和食店、洋食店、天ぷら専門店等々とランチ激戦区だ。自分で散策してお店を決めるのがいいかもしれない。九段下までの靖国通り沿いを散策すればいろいろなお店に出くわすことになる。本通りから外れて路地に入って物色してみるのも面白い。気に入った店がなければ潔く、本通りに引き返すのがいい。これを九段下までこなせば、貴方も神保町通になれると思う。ただし、平日の日中が条件。夜はこうして事前に調べた店に行くべきだろう。学生の少ない、土休日より平日の方が街に活気があるように思う。ちなみに神保町の入口のすずらん通り商店街も私の好きな空間だ。神保町に行ったときは是非立ち寄るといいと思う。