前回、「PCでいい音で音楽を楽しむことができるかという実験」をWindows PCでトライしてみた。今回、同じテーマをMacで実験してみた。
前回、Windows PCで実験を行ったのは、Macでは、コマンド入力の方法以外、Windows の「WASAPI 排他モード」(通常「ワサピ」)のような音声出力を排他的に音楽再生ソフトの音だけに絞れる機能を簡単に設定できる再生ソフトがないと考えていたためだ。
音楽を聴く度にコマンド入力で排他モードを使うのは、現実的でないと思ったのでMacでの実験は諦めた。しかし、最近、有償の再生ソフト「Audirvana Plus」(75$)なら設定画面の「Exclusive access mode」のボックスにチェックを入れるだけで排他モードが使えることを知ったのでMacで実験してみた。排他モードの設定は、トライアル版では利用できないのでネットでAudirvana Plusを購入した。
→Audirvana Plus (オーディルバナ)は本当に高音質なのか?気になるよね
*Audirvana Plusの特徴は(上記リンクの抜粋)
①高音質であることアップサンプリング処理をアップルシステム標準のApple Core Audio以外に「iZotope 64-bit SRC」で更に高精度に行うことが出来る。
②更に音楽データをSSDやHDDから先読みしてメモリーに展開することで音声処理の精度や安定性に優れている。
③そして「Exclusive access mode」というのがあって音楽再生中にMacの出力機器を占有して余計な音の割り込みやミキシングを排除する環境設定も出来る。
④iTunesとの連携も抜群で「iTunes integrated mode」をオンにするとAudirvana Plusを起動するだけで、iTunesも同時に起動して、iPodのRemoteで操作できてしまう。もちろん音楽再生エンジンはAudirvana Plusが裏で動いている訳です。
→【第35回】Mac用高音質プレーヤー「Audirvana Plus」使いこなしテクニック
Macにも対応したハイレゾ再生フリーソフトに「VLC」というソフトがあるが、こちらは排他モードに対応していない。そして、残念ながら操作性、音質とも「foobar2000」に軍配が上がるように思う。しかし、foobar2000は、Macには対応していない。そのために前回は、Windows PCの1択となった。
アップルは、OSが変更になると以前使っていたソフトがサポートされないことが多い。だからアップルストア以外からダウンロードしたソフトをMacで使うのは、ソフトの脆弱性の問題以外にもいろいろとリスクがあるように思う。ただ、私の場合、Macは、普段ほとんど利用していないので今回は、割り切って「Audirvana Plus」を導入することにした。
Macは、iPodを購入したときにそもそも仕方なく購入したものだ。初期のiPodは、Macで曲をダウンロードする以外に方法がなかったため、iPodを使いたいなら他に選択の余地がなかった。しかし、そのマックは、ほとんど曲のダウンロード以外利用していなかったにもかかわらず、5、6年で液晶画面に線が入るようになり、急逝してしまった。
修理のため、検査に出したら、修理するとしても法外な費用が掛かると言われ、故障の原因と考えられる液晶部品の在庫期間が切れており、在庫もないという理由で返却されて来た。しかも画面の横線が検査でさらに増えて戻ってきた。
私は、これまで、液晶のディスプレーやPCを何台も購入したが、20年間で液晶が壊れたのはMacだけだ。サードパーティの業者で中古の部品を使って修理することも考えたが、修理しても同じ現象が起きる可能性が排除できないのでやめた。本当に納得がいかなかったが、仕方なく、現在は、液晶が付いていない本体のみという理由でMac miniを後継機種として音楽用に使っている。
だから、メインPCとしては、Windowsを利用している。アップルのPCはブラックボックスで何か不具合が生じると原因も対応方法もなかなか分からない。サポートは、これまでの経験でほとんど役に立たない。バックアップ機能も使い勝手が悪いため、何かあれば、OSの再インストールのリスクも高いのでMacをメインで利用する気になれない。と愚痴を書くのが今回の投稿の目的ではないので本題に戻る。
以下が前回の実験と今回の実験で使ったハードとソフトの比較表だ。ハードについては、前回と大差がないように思う。だから、今回の比較は、再生ソフトの比較になる。
結論から言うとfoobar2000の方が総合的にAudirvana Plusを上回っているように私には感じられた。Audirvana Plusは、ハイレゾの音源を聴いたときは、低音(楽器の音)が際立っていてそれなりにいい音のように感じた。コンサート会場で音楽を聴くような感じだろうか。しかし、CDからリッピングした音源(FALCを含む)は、ザラ付いた音に感じた。悪く言えば粗野な音のように私には感じられた。
Audirvana Plusは、「iTunes Integrated Mode」という機能が用意されており、iTunesの中にAudirvana Plusの音声処理エンジンを組み込んで利用することができる。しかし、低レゾの音源は、iTunes単独で再生した方がナチュラルな印象だ。また、Audirvana Plus独自のライブラリー管理機能は、シンプルではあるが、表示がアルバム単位か曲単位しか選択できず、画面を好みのスタイルにカスタマイズすることはできない。こうした面でも画面を自分好みにアレンジできるfoobar2000の方が、優れているように思う。
→Mac用オーディオプレーヤー「Audirvana Plus 2.0」リリース - UI刷新、ライブラリ管理機能搭載
foobar2000は、低レゾからハイレゾまで一貫して管理できるだけでなく、音自体が、ナチュラルで聴き飽きない。低レゾの音源もiTunesで聴くより聴き飽きない自然な音を実現しているように思う。ただ2回の実験とも性能のそれ程高くないUSBDACとスピーカーでどこまでいい音で音楽を聴けるかを目的にしており、高性能のハード(周辺機器)を使った場合では、結果が異なることもあるかもしれないことをお断りしておく。 おしまい
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