私は、サッカーファンではないが、昨日は、アジア杯の決勝戦をテレビで最後まで観戦した。なでしこの勝利への執念が感じられるいい試合だった。その一方で選手の表情が自信に満ちていて明るいのが印象的だった。
いいリーダーがいると後輩は、安心してのびのび活躍できるのだろう。リーダーとは、監督のことではない。無論、監督の方針が現在のチームを育てたのは間違いないと思う。そして、一番大きいのは、求心力のある選手の存在だ。
澤選手は、相手の反則で転倒してもニッコリ笑って起き上がってくる。懐の大きさを感じる。選手は、澤の背中を見ているだけで安心してプレーができるというのも分かる。残念ながら、周りにはこうしたリーダーが存在しないように思う。
最近の政治のリーダーと呼ばれる人は、唯我独尊タイプの人が多いと思う。自分の目標に同意しない者に対する許容度が低いリーダーが多いように思う。人を育てる、もしくは育つのを待てるリーダーがいなくなってしまっているように思う。
結果に対する責任を他者に転嫁する人が多いように思う。あるいは、結果責任を回避するために新しいことにチャレンジしない人が多い。人から与えられた成果主義が、人を萎縮させるだけに終わっている組織は多いと思う。成果に対する個人の意欲をどう引き出すかがリーダーの役目のように思う。澤選手の背中を持ったリーダーはなかなかいない。
ところで、最近、よく感じることがある。日本で成果にこだわり、最も結果を残しているのは、アスリートと呼ばれるスポーツ選手だ。サッカーのなでしこ、女子バレー、スキージャンプの高梨、テニスの錦織、ヤンキースの田中、フィギュアスケートの浅田真央等々。
彼等に共通しているのは、成果に強くこだわりながらも謙虚で自分に厳しいこと。それに比べ、大人の世界では、結果に対する言訳、不誠実、他者への責任転嫁が横行しているように思う。理研のSTAP細胞騒動はその典型のように思う。
この国は誰も責任をとらず、うやむやにしてしまうのが得意だ。こうした傾向を増長させているのは、マスコミにも責任があるように思う。私たちは、マスコミの報道を鵜呑みにせず、常に本当にそうなのかという問いを忘れてはならないと思う。そして、謙虚に物事を見つめ直し、他者に対するやさしさを忘れてはならないと思う。自分以外の人々の視点で物事を考えることが大切なように思う。