全線乗り放題
この間、電車に乗っていて中吊り広告に目が止まった。東武バスの「ラブリーパス」という東武バスの路線バス(東武バス日光を除く)が全線乗り放題となる定期券の広告だ。
京成グループも似たようなプランがあるが、こうしたパスは全国的に普及しているのだろうか。人口減、少子高齢化により利用者が減っている路線バス事業者にとってこうした企画パスは、利用者の外出機会を増やすだけでなく、事業者による顧客囲い込みになり、収入の安定化にも寄与するのではないだろうか。
シルバーパス
一方、自治体の福祉政策として東京都には福祉乗車証という都民を対象にした「シルバーパス」が存在する。満70歳以上の都民で希望する人は、都営交通(都バス、都営地下鉄、都電、日暮里・舎人ライナー)と都内の民営バスに乗車できるパスを低額で購入できる制度だ。しかし、自治体の財政状況を考えるとこうした制度を今後とも税金で維持していくのはいずれ困難になることが予想される。
そう考えると公共交通の維持のためには、事業者と利用者の共存共栄の道を模索する以外ないように思う。民間の上記のような企画定期券が、人口減と少子高齢化で路線バスの利用者の減少に苦しむ事業者にとっては、収入の安定化につながるだけでなく、単線の不採算路線を含めて全線を利用者に販売することが可能になるのではないだろうか。
不採算路線もその地域を訪れる人にとっては貴重な観光路線としての魅力を持つものがあるように思う。全路線乗り放題という形で利用しやすい料金で販売すれば、バス全体の利用が増えるのではないだろうか。
通信会社の料金が、従量制から定額制にシフトしているのも需要の増加が見込めるからではないだろうか。地方の公共交通も距離制から定額制の試みが増えており、京丹後市のような成功例も出始めている。低額上限運賃もしくは均一運賃と全線乗り放題定期をうまく組み合わせれば、路線バスの需要の拡大が望めるのではないだろうか。