隠れ家的日本料理店
銀座に行く用事があり、夕食においしい和食が食べたいと思い、和食ランキングで検索したら、手頃な値段で口コミの評価が高い店があった。口コミを読んでみると「俺のフレンチ」系列の隠れ家的日本料理店だった。人気店なので入れるかどうか分からなかったが、お盆前でもあり、ひょっとしてと思い行ってみることにした。
看板がない!
店の前に着いたのは、7時頃で誰も並んでいなかった。しかし、場所はビルの谷間のようなところにあり、看板もなく(後から気づいたが、目立たない、店名が書かれた小さな木製の表札のようなものが入口の右側に付けられていた!)、扉も板戸で店の中が見えず、少し道に迷ってしまった。挙げ句、店の前を通り過ぎてから家内が店の前の足下に置かれた灯りに店名が書かれているのに気が付いてやっと店の前に辿り着くことができた。
すべて二人連れ
ちょうど男性が一人出てきたので店の扉を開けたら、順番に案内しているので外でお待ちくださいと言われてしまった。15分程で店の中に案内された。カウンターが立ち席12名、入口横のテーブルがイス席4名で定員は16名だろうか。不思議なことに来店客は、二人連ればかりだった。2組が女性同士だったが、残りは私たちを含めて男女のカップルだった。カップルは若いカップル、中年のカップル、老齢のカップルと様々だった。
明朗会計
入る時に、2時間制であることが告げられ、カウンターの一番奥の席に通されて飲み物を注文すると、メニューの書かれた黒板が目の前に置かれた。最初に3品程頼み、最後に名物の「からすみそば」を頼んだ。値段は、平均で千円台半ばだろうか。食材の品質から考えれば文句のつけようもない料理ばかりだ。お酒は、一般的な飲み屋の値段とさほど変わらない。私たちの前に勘定を済ませた人の勘定の平均は二人で8千円前後だろうか。別に聞き耳を立てていた訳ではなく、勘定をカウンター越しで払うので自然に分かってしまう。そういう意味では、オープンそのもので明朗会計だ。レシートは出ないが、希望者には手書きの領収書を発行してくれる。
絶妙な価格設定
料理の価格設定は絶妙だと思う。この品質でこの値段ならというのが大方の来店客の評価だろうと思われる。原価率が高くても工夫次第でちゃんと商売が成立すること、そして、料理人のお客に喜んでもらいたいという欲求が満たされるしくみだ。世の中の多くの問題も創意工夫次第で問題解決ができることが沢山あるのかもしれないとよけいなことを考えてしまう。できないという固定観念より、工夫すればできるんだという楽観的取組の方が、世の中の役に立つのではないだろうか。
たまに行くならこんな店
このお店は、たまに行くならこんな店のように思う。料理人が手間を掛けた料理は確かに美味しいが、普段はあまり手を掛けない料理が飽きないで健康にもいいように思う。「しまだ」はちょっと贅沢をしたいときに親しい人と訪れたい隠れ家的料理店のような気がした。 おしまい