食品の異物混入
最近、食品の異物混入が大きな話題となっている。そんな中、「ペヤング」の製造・販売元のまるか食品は全商品の自主回収と生産中止を行った。一部でこれを行き過ぎだという意見もあるようだ。しかし、私は、まるか食品の判断を尊重し、応援したいと思う。品質と安全性で高い評価を受けているメイドイン・ジャパン製品の信頼をこれを機会にさらに高めて欲しいと思う。
異物混入は、確かに完全には防げない事故かもしれない。しかし、それを統計上の確率理論で事故発生リスクを正当化すれば、顧客の選択肢を狭めることになるように思う。今回の異物混入が気になるなら買わなければいいという主張を肯定することになると思う。こうした意見は、事故を起こした企業の発展のプラスになるだろうか。私も過去に何度か「ペヤング」を購入したことがある。正直、手軽に食べられる美味しい製品だと思う。
しかし、私が地球上で最も嫌いな生き物は、ゴキブリだ。生理的に受け入れられない。若い頃、寝床に付いたときに天井にゴキブリを発見し、新聞紙で筒を作って捕獲しようとしたことがある。イスに乗り、慎重に丸めた新聞紙の筒を天井のゴキブリめがけて伸ばしたが、捕獲する寸前で私に向かって飛んで来たため、私はイスからひっくり返ってしまった。今でもよく思い出す。トラウマになっている。
もし、今回、事故の確率や健康被害の可能性に対する科学的な見解を理由に製造・販売を継続していたなら私は二度とペヤングを買わないだろう。買う、買わないは私の問題だから誰かに批判されることもない。
日本製品の最大の差別化は、品質と信頼性
もし、十分な対応をせずに、再度、ゴキブリが製品から発見された場合の企業ダメージは、今回の製造中止と廃棄処分の損失では済まないだろう。過去にトヨタは米国で深刻なリコール問題に直面したが、真摯に対応したから日本車の信頼を回復することができたのだと思う。日本製品の最大の差別化は、品質と信頼性のように思う。過剰品質という視点もあるが、その判断は消費者に委ねられるべきだ。無論、投入した商品の売れ行きについての結果責任は、企業にある。商売にリスクは常にある。リスクのない商売などないように思う。
異物混入事故に対する日本マクドナルドの対応の結果は、今後の業績で明らかになるだろう。正直、ハンバーガーも即席焼きそばもコモディティ商品のように思う。極論をすれば、マックのハンバーガーやペヤングがなくなっても当該企業以外、誰も困らないように思う。
しかし、まるか食品が、今回の事故を契機に品質も安全もいっそう高めることができれば、さらなる発展と企業の持続性を獲得できるようになるだろうと思う。ペヤングが美味しい商品であることは間違いないのだから、そこにどこにも真似のできない品質管理体制が構築できれば、さらにメイドイン・ジャパン製品の評価を高めることになると思う。今回の事故を騒ぐほどのことじゃないという企業に未来はないように思う。
付加価値とは、性能や機能の差別化だけではないと思う。信頼と安全性のレベルもりっぱな差別化だ。安かろう悪かろう理論でマクドナルドの対応の限界を論じる意見もあるが、そうであれば、消費者の厳しい購買行動を容認しなければならないはずだ。あくまでも選択権は消費者にあり、企業は、下した経営判断の責任を真摯に受け入れねばならないだろう。
その結果を日本市場の特殊性の所為にすることは許されないと思う。コストと効率だけを追求するグローバル・スタンダードの経営判断の範囲は狭いように思う。特定の地域の対応が広範囲な影響を受けるグローバル企業の経営判断の難しさがそこにはあるのかもしれない。世界中で通用するグローバル・スタンダードなど幻想なのかもしれない。
→客離れ止まらぬマクドナルド 客数は23カ月連続マイナス 日本マクドナルドホールディングスが2015年3月の販売データを発表。売上高や客数は前年同月比で減少が続いている。
→業績悪化のマクドナルドがついに賃下げ トップとの格差に現場から不満の声
→マクドナルド、賃下げに? ~「4つの等級のうち、上から3、4番目の社員を対象」というところが、ますます現場の士気は下がりそう。客離れだけでなく、従業員離れも誘発するのではないか。
→マック、売上減止まらず12年前の水準へ さらに赤字拡大、改革計画まったく進まず…
私は、ペヤングの品質管理体制の再構築が納得のいくものなら、応援の意味で購入頻度を増やしたいと思っている。頑張れ!ペヤング! おしまい
(追記)
まるか食品が生産の再開と店頭販売を始めると発表した。本当によかったと思う。こうした真面目な企業が、正しく評価され、地域の優良地場企業として地方の雇用を支えて欲しい。販売が開始されたら、応援の意味で早速、購入したい。ツイッターをやっている方はこうしたときこそ応援してあげて欲しい!
👉やきそば ペヤング妹の名は「ペヨング」 再開販売が好調~現在の生産量は販売中止前の1.6倍と絶好調だ。(2016年3月4日 毎日新聞)
〇マック崩壊を招いた、組織破壊と優秀な人材の放逐 FCから反発噴出で集団離反の恐れも
*原田氏が日本マクドナルドのトップとして乗り込んで最初の取締役会で英語のスピーチを行い、「バスに乗る者はバスに乗れ! そうでない者は辞めろ」という方針を明確に示した。
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