Google翻訳は本当によくできている
Google翻訳が凄いという記事を読み、早速、試してみた。機械翻訳がとうとうこのレベルまで来たのかと驚いてしまった。昔、第5世代コンピュータ・プロジェクトという人工知能コンピューターの開発プロジェクトが日本でも国策で行われたことがあった。その研究課題の中に自然言語処理、音声・画像認識等のパターン認識の課題があった。分かり易く言うと人間の会話の構文や意味を解析したり、音声や画像情報を認識・理解する技術だ。こうした技術が開発されれば、その成果として海外旅行に行ったときに翻訳機を使うことで外国の人と簡単にコミュニケーションが可能になるだろうと想像されていた。
これまでも多くの翻訳機や翻訳ソフトが開発されてきたが、音声認識のレベルが低く、認識できる語彙の数も限られたものだった。しかし、コンピューターのプロセッサーの高速化、メモリの大容量化、高速ブロードバンドとクラウドコンピューティングの発展により、ハードウエアの性能が大きく向上した結果が、今回のGoogle翻訳の成果につながったのだろう。
それにしてもGoogle翻訳は本当によくできている。情報技術の基幹ソフトは、依然、アメリカが群を抜いているように思う。だからと言って日本も同じような技術開発を目差すべきだとは思わない。日本は、日本にしかできない技術開発に資源を注力するべきだと思う。情報技術分野でも日本人の特性にあった分野が多く存在しているはずだ。日本独自の技術を開発することで共存共栄の関係を作るべきだと思う。
セキュリティやプライバシーの問題
正直、Google翻訳を使えば、言葉の異なる多くの人々のコミュニケーションが容易になるだろう。実際に音声、手書き入力、画像のカメラによるスキャンを試してみたが、誤翻訳はあまりなかった。主語のない会話をどう翻訳するかとか、類似語の多い単語をどのように翻訳するかとかになると文脈が重要になり、完全な翻訳を期待すること自体、無理があるように思える。
しかし、コミュニケーション支援ツールとしては十分な性能のように思われる。翻訳機が人間をアシストし、人間が不十分な翻訳箇所を訂正したり、補ったり、言い換えたりするという相互の協力関係によりコミュニケーションを完成することができるレベルの性能だ。もともと同じ言語を話す人間同士でも育った環境や会話の状況次第では、意思疎通がうまくいかないことが多々あるくらいだから翻訳機に対する期待は、あくまで人間に対するアシストが現状では限界のように思う。
翻訳データはクラウドに転送されて処理されるが、レスポンスも速く、短い会話なら実用性に問題はないように思う。企業内の言葉を異にする人同士の会話や会議ならスマホやパソコンを使えば、実用レベルでコミュニケーションが可能なレベルだ。海外旅行もスマホがあればOKだろう。ただ、セキュリティやプライバシーの問題はあるように思う。翻訳データは、Googleのサーバーに転送されるので重要な情報が外部に漏れるリスクがあるかもしれない。
波及効果
今後、Google翻訳を使うことで飲食店やホテルでの外国人の受け入れが日本でも容易になるだろう。日本に来た外国人の言語障壁の解消につながるだろうと思う。さらには、企業の外国人の採用の壁も低くなるかもしれない。また、海外からの介護ヘルパーの採用が容易になるかもしれない。しかし、一方でGoogle翻訳が普及すると英会話学校等の語学サービス業に大きな影響があるかもしれない。
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機械翻訳のレベルが上がることはいいことだと思う。優れた翻訳機を使うことで外国語を使うとき誰もが感じる、話しの意図が相手に伝わっているだろうかという不安を解消できるかもしれない。話し手は母国語をしゃべることで翻訳された外国語の内容の正確さに神経を集中することが可能になり、言い回しを変えることでより自分が伝えたいニュアンスを相手に伝えることが可能になるだろう。
また、これまで長年の間、英会話の習得に励んでも英会話をものにできなかった人々が翻訳機を利用することで外国人とコミュニケーションできるようになれば、英会話の勉強に投資する時間をもっと有益なことに使えるようになるだろう。無論、語学自体の勉強は必要だ。何故なら、翻訳された内容が正しいか、自分の意図を伝える内容になっているかを理解できなければならないからだ。
ビジネスマンは、少なくとも英語を読んで理解するという能力は不可欠だと思うが、不得手な英会話の勉強に時間を費やすより他のもっと必要とされるであろう実務知識を高めることが大切なように思う。外国語の会話は、あくまでも手段であって目的ではないように思う。母国語でしゃべったことを翻訳機の特性を把握して、より正確に相手に伝える能力がこれからは求められる時代になるかもしれないとGoogle翻訳を利用してみて感じた。
海外で評価されているような科学者や技術者でも英会話で苦労している姿を見かけることがある。一方で、英会話はネイティブ並なのに実務に必要な知識の乏しい通訳の人がいる。語学は必要だが、英会話ができても実務知識に疎い人は、結局、評価されないように思う。アメリカ人が英語を話すことは能力ではないのに、日本人が英語を話すことが本当に重要なことだろうか。
Google翻訳が普及し、普及によりさらに翻訳に必要なデータベースの語彙や音声・画像のパターン情報が増え、認識率がより高まれば、世界の言語障壁の壁がなくなる日も来るかもしれないと妄想した。 おしまい
●「人工知能:記事書き、資料整理も 米、雇用喪失の懸念(毎日新聞 2015年06月20日)」~昨年1年間で同社のAIが自動作成した記事やリポートは10億本。「スポーツでも企業決算でも、どんな文体の記事でも書けます。まだニーズはないけど、シェークスピアのような文体も可能でしょう」。広報担当者ジェームズ・コテキさん(29)は自信を見せる。
〇1時間立ち尽くしたバス停、おばさんの親切心に感謝も最後に待っていたのは悲劇だった―訪日中国人
*おばさんはかばんの中から携帯電話を取り出した。グーグル翻訳が使えるじゃないか!さすがは年の功だ。おばさんは、私が待っているバスは週末にしか運行しないと教えてくれ、「横のこの路線図を見るのよ。このバスに乗って、降りたら少し歩いて…」と携帯を通して説明してくれた。なるほど!私はおばさんに、日本語と英語と中国語の3つの言語でお礼を言った。
*ワトソンは利用者が入力した文章を自然言語処理の技術で解釈し、ビッグデータ分析などの技術によって質問の答えを導き出す。
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