マルタ島産のマグロの赤身
私は、刺身が大好きだが、普段、マグロはあまり食べない。回転すしでもマグロは滅多に食べない。何故なら、安いマグロは美味しくないからだ。そうかと言って高級なマグロはとても高いのでちょっと手が出ない。デパ地下のマグロの刺身でも値段がそこそこのものは正直あまり美味しくない。
しかし、錦糸町の昔ながらの魚屋さんといった風情の「魚寅」で最近、マグロの柵をよく買う。値段が手頃で美味しいからだ。私が、いつも買うのは、マルタ島産のマグロの赤身の柵だ。千円台前半のものでも十分美味しい。私も家内も年のせいか、量より美味しいものを少量食べることに喜びを感じる。だから、小さな柵でも2日に分けて食べている。
マグロの他に鯛やヒラメ、そして売っているときは赤貝を買う。買ってきた刺身を銘々皿に取り分けて、「刺身定食」で食べるのがとても楽しみだ。食卓が豊かになった気分になる。魚寅で買い物したときは、たいてい2日間は刺身定食だ。場合によると3日間連続というときもある。
マルタ島産の赤身マグロは、水っぽくなくねっとりしていて実にうまい。スーパーに入っている鮮魚専門店で売っているマグロの赤身は、同程度の値段だとたいてい半冷凍か、ドリップが出ていて水っぽくて美味しくない。無論、2,000~3,000円台の柵を買えば、美味しいだろうが、普段の食卓の食材としては高すぎる。
マグロ以外にもたらこや解凍した釜揚げシラスもよく買う。どちらもスーパーで買うものより数段うまい。解凍した釜揚げシラスは、意外な程美味しい。刺身以外の魚や海藻も手頃でいいものが置いてある。
魚寅の名物
しかし、魚寅の名物は、歩道に面した窓越しに対面販売している大きなマグロとタコのぶつ切りだ。マグロが100グラム270円、タコの方が100グラム300円。一つがとても大きく切ってある。まぐろの山かけを食べたくなったときは、こちらのマグロのぶつ切りを買うことがある。
対面販売
魚寅は、対面販売ではないが、何故か昔の個人商店の魚屋さんを思い出してしまう。昔より流通や冷凍技術が進んでいるので鮮度は今の方が良くなっているだろうから単純に昔の魚屋さんがいいとも言えないと思うが、私は、大型総合スーパーが衰退する中で鮮魚等の生鮮食品は、地域に密着した対面型の販売が少子高齢社会にあっているように思う。
どんなに技術が進んでも人は、生身の人間同士のつながりなしには、生きていけないように思う。スマップの中居正広がプライベートは一人の方がいいと言っているが、それは普段、濃密な人間関係の中で仕事をしているからのように思う。一方、普段は通りすがりの挨拶を交わす程度の付き合いの方が人間関係は長続きするようにも思う。
しかし、それでも少数のわかり合える人が人には必要だと思う。何かあれば助け合えるのが日本人だと思う。最近、茨城の水害で多くのボランティアが無償で被害者の住宅の後片付けを手伝っている姿をテレビが報道していた。こうした生の報道は、テレビの魅力だろう。個人のツイッターによる災害情報の投稿はとても有益だが、情報を深く掘り下げて報道する資源をテレビはまだ持っているように思う。問題は、そうしたテレビの特性を生かしていかに正確な情報を視聴者に伝えるかという姿勢のように思う。目に見えない視聴率の数字だけがテレビの生き残るための指標ではないのではないだろうか。
話が逸れたが、対面販売でのちょっとした会話が老人には、社会とのつながりとなっているように思う。一見、非効率に見える対面販売が、これからの少子高齢化社会では狭い地域で生き残って行く重要な手段となるように思う。残念ながら、魚寅は、マグロとタコのぶつ切り以外は対面販売ではない。店員と客同士のコミュケーションがあるわけでもない。
循環型の社会の構築
企業が効率とコストだけを重視するなら、我々も値段を追求せざるを得ないように思う。地域が生き残っていくためには、どんなに交通網や輸送技術が発達しても地域で生産したものを地域で消費する循環型の社会を構築していく以外ないように思う。これまでの総合スーパーは地域から生産者の生産と収入を奪い、地域を衰退させてきたように思う。
しかし、少子高齢化で内需が減少し、大企業が成長するために海外に活路を見出すしかなくなっている。そのためのツールがTPPなのだろう。いままでは大企業が、地域の内需を吸い上げていたが、今度はそこに海外のグローバル企業も参入してくることになる。無論、海外のクローバル企業が地方に進出して地域の生産者を活用し、地域に雇用をもたらすようなビジネスをするなら歓迎するべきだろう。
しかし、海外の需要を加盟国が競争で奪い合うのがTTPの本来の目的だから決してそうはならないだろう。加盟国間でグロバール企業が自由な競争ができるビジネス環境を整備することがTPPの目的と言いながら、著作権や医薬品の保護期間の問題は、米国の国益、とりわけ米国のグローバル企業の利益保護が目的なのは明らかだ。寡占による医薬品の高騰リスクが高くなり、医療費の財政負担で苦しむ日本の社会保障制度の維持がますます困難になる可能性がある。自由な競争市場の創出という目的のためにバーターで著作権や医薬品の保護期間の譲歩、そして各種規制緩和が使われているように私には感じられる。
TPPの最大の問題点は、合意内容が国民には予め分からないことだ。そして、関税以外の参入障壁の削減内容がほとんど分からないことだ。TPPが成立すれば、国内法が修正され、それを国内で議論する機会も奪われてしまうことだ。食品の安全性より市場開放が優先することは必至だろう。安保法案の対応を見れば、安倍政権に一任するのはとても危険だと思う。
私は、今回のTPPは、一旦反故にするべきだと思う。国民がその内容が分からないものを情報隠蔽やメディアコントロール体質の安倍政権に決めて欲しくない。何様のつもりだという思いが日々募っている国民は私以外にも多いと思う。時間が経てば国民は、良かったと思うなどという発言は、唯我独尊以外のなにものでもないと思う。安倍首相は裸の王様のようだ。…また話が逸れてしまった。
結論は、魚金のマルタ島産の赤身マグロが美味しいということだ。騙されたと思って一度、購入すべし。 おしまい
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