回復ドライブについての疑問
今回のWindows10メジャーアップデートに関する調査と実験でこれまで疑問に思っていたことが、分かったように思う。しかし、私の疑問は、結局、マイクロソフトの情報開示姿勢に由来しているように思う。
マイクロソフトに「コミュニティ」という問題解決のための仕組みがあるが、正直、私には単なるユーザーの情報交換のための掲示板に過ぎないように思われる。ユーザーが投稿した問題についてユーザー同士の協力による問題解決のしくみなのだろうが、問題によっては開発者であり、販売業者であるマイクロソフトが明確に回答すべき事柄があるように思う。
初心者の疑問についてはQ&Aや「コミュニティ」の情報交換で解決できるが、開発者サイドにしか分からないテーマもある。正直、情報技術分野の供給側のサポート体制は、お粗末なように思う。とりわけ、アップルやマイクロソフトにはその傾向が強いように思う。本来、供給側が負うべきコアのサポートのコストまでユーザーに転嫁しているように私には思える。
例えば、Windows10でバックアップツールとして「回復ドライブ」と「修復ディスク」の2つが同時に提供されるようになったが、その狙いと違いが何なのか、当初、私は理解ができなかった。しかし、最近になって「回復ドライブ」があれば、「修復ディスク」はいらないということがネットの情報と私の実験で明確にすることができた。「修復ディスク」は、要は起動ディスクに過ぎないこと、「回復ドライブ」も「回復パーティション」が作成されないものは、「修復ディスク」と変わりがないということが分かった。
そしてWindows10になってから「回復ドライブ」の機能が以前と異なっていることがネットの情報や私の実験で確認できた。「回復ドライブ」の中に作成された「回復パーティション」の中身がWindows10のインストール前のシステムに戻すための工場出荷時のメーカー製のユーティリティやドライバーが格納されたリカバリ領域なのか(Windows10アップグレードから1ヶ月以内ならCドライブの中に旧システムのリカバリ領域が残されていることは明らかだが)、Windows10の再インストールのために新たに作成されたものなのかがこれまで明確でなかった。ネットで散見されるWindows8の「回復ドライブ」についての記述等から推測したりもしたが、反って私の頭の中は混乱するばかりだった。
しかし、その答えが後者であることが分かった。下記の記事によれば「Windows10では回復パーティションの意味合いが変わっています。…具体的には、インストールされたWindows10から必要なファイルをかき集めて、その都度インストールイメージを作成します。」ということになる。「回復ドライブ」の作成に時間がかかるのも納得できる。「回復ドライブは工場出荷状態に戻すためのものではなく、ある時点まで時間を戻すものです。従来の修復ポイントと同じ意味合いですが、アプリケーションなどは消えて」しまうことになる。「回復ドライブ」は一度作成したらお終いというものではなく、こまめに作成しないと意味がないようだ。
→Surface Pro 4で作成した回復ディスクでは工場出荷状態に戻すことは不可能~Windows 10での回復ドライブの仕組み
つまり、「回復ドライブ」でできるのは、直近のWindows10の再インストールということになる。これまでにインストールしたアプリは、再インストールする必要がある。しかし、メーカーがプレインストールしたユーティリティやアプリは、メーカーがダウンロードサービスをしていたとしてもWindows10で単純に再インストールできないものもあり、最悪、事前に作成していたバックアップを使うなど何らかの方法で工場出荷状態に戻してからWindows10の再アップグレードを行わねばならなくなる。しかも、Windows10の無償アップグレード期間終了後は、有償で再アップグレードする必要がある。
だから「回復ドライブ」によるWindows10の再インストールは、メーカーがプレインストールしたアプリやユーティリティにこだわらないユーザーの選択肢に過ぎない。私が以前ご紹介したとおり、「回復ドライブ」を使った再インストール(クリーンインストール)でマシンが問題なく動くことは確認済みだ。しかし、その後「EaseUS Todo Backup Free」で作成したシステムバックアップで元に戻している。
→Windows10アップグレード顛末記(追記)~メジャーアップデートのこと③
もし、「Windowsのイメージのバックアップ」をまめに作成しているユーザーがいるのなら、回復ドライブを「Windowsのイメージのバックアップ」を使って復元するための起動デバイスとして使うこともできるが、それなら容量を取らない「修復ディスク」を一度作成すれば済む。
「回復ドライブ」がアプリの再インストールの必要な「修復ポイント」ならば、「回復ドライブ」をまめに作成するより、「EaseUS Todo Backup Free」でシステムバックアップを定期的に作成することを私はお勧めする。なぜなら、「EaseUS Todo Backup Free」のシステムバックアップは、USB3.0対応の外付けドライブならCドライブの使用領域にもよるが、バックアップの作成に要する時間は20分程度と「回復ドライブ」の作成時間よりかなり時間短縮になる。また、アプリの再インストールの必要もない。
そして「Windowsのイメージのバックアップ」に比べてもバックアップの作成時間が短く、失敗する確率が低いと考えられるからだ。私は、これまで「EaseUS Todo Backup Free」のシステムバックアップの作成で失敗したことは一度もない。しかし、バックアップは、できれば二重、三重に行っておく方がいいことは間違いないので、最悪の場合を考えて回復ドライブとWindowsのイメージのバックアップも負担にならない程度で作成しておけば万全だろう。
ちなみに、私はこのホームページをもちろん情報発信という意味で作成しているが、それ以上に忘れやすい自分の備忘録として使っている。今回の記事も自分の記憶のバックアップでもある。 おしまい
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