「小池さんの看板がなければお前ら落選」と橋下が希望の党の旧民進系議員を攻撃しているが、これは詭弁だろう。もし、希望の党が民進党と合流せずに解散総選挙に臨んで自民と野党統一候補と戦っていれば生き残ったのは民進党との合流前に離党して加わっていた民進の結党メンバー位だろう。
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小池が若狭氏や細野氏が進めていた新党の準備をリセットしたのも地方選での結果からこのままでは勝てないと読んだからだろう。都議選圧勝の余韻のあるうちに小池自らが新党を立ち上げて選挙に臨んだ方が勝算があるという判断だったのだろう。
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準備期間がない中で選挙資金と人材を獲得する上で民進党は希望の党にとって格好のターゲットだったのだと思う。都議選圧勝という風がまだ吹いていたので民進党との交渉も有利だっただろう。東京都の選挙区の民進党候補からすれば都議選に圧勝した小池率いる新党は脅威と映ったのは間違いないと思う。
しかし、その時点では民進党も国民も小池の本性を知らなかった。だから、安保法制と改憲の踏み絵が排除発言として国民に浸透するまでは瞬間的に希望の党の政党支持率が高く出たというのが真実だろう。小池は言葉が独り歩きしたみたいな言い訳をしているが、国民が嫌ったのは仮面を脱いだ後の不寛容な醜い姿だったと思う。
石原慎太郎の「大年増の厚化粧」という罵倒はとうてい許されないが、人間性の厚化粧は安倍の人を欺くことに何のためらいも感じない姿と重なる。小池も安倍も変わらないと多くの国民に映っただろう。
だから比例代表の希望の党の1千万近い獲得票の多くは民進党系の候補を支援した個人や組織の票だと考えられる。50名の当選者のうち民進系議員は結党メンバーの5名と柿沢未途を含めて45名となり9割に達する。希望の党の新人は1名しか当選していない。
希望の党の当選候補者で小池の恩恵を最も受けたのは樽床伸二と井上一徳、そして中山成彬だろう。3人とも比例ブロックで優遇され、盟友の樽床は比例近畿ブロック単独1位、元防衛官僚で小池の部下だった井上が同ブロック2位、お友達の中山は比例九州ブロックの単独1位だ。
橋下は当選した民進系議員を批判しているが、こうした小池のお友達優遇を批判していない。3人ともこうした優遇を受けなければ落選していただろう。そう考えると民進党との合流がなければ選挙後に10名にも満たない政党で終わっていた可能性がある。資金もない、人材も組織もない弱小政党で終わっていただろう。第2の維新か「日本のこころ」の救い船になるのが落ちだっただろう。
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橋下は「当選するためだけに希望の党に来たチョロネズミが、小選挙区では落選しながら比例復活したらややこしい。」と言っている。この言葉に最もふさわしいのが小池のお友達の井上と柿沢ではないだろうか。そしてもっと始末が悪いのが比例名簿のへの掲載だけで当選した中山と樽床の二人のお友達ではないだろうか。そして維新にもチョロネズミがいるようだ。維新の足立議員は『連続落選なら比例枠を返上する』と言っていたが…。
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希望の党と民進党との連携で最も得をしたのは小池自身ではないだろうか。不用意な発言で本性がばれた小池が政界に残り、都知事として仕事をしていくためには安倍政権の協力がカギとなるからだ。攻守ところが変わり、小池にとって希望の党は安倍政権が望む改憲発議のためのバーター材料となるからだ。
橋下は自民党を攻撃することはあっても安倍や松井代表を攻撃したことは一度もないように思う。せいぜい、当たり障りのない批評をするだけだ。安倍政権を擁護する頭のおかしな幼稚な人々の一人だと思う。
橋下は「小選挙区で当選してきたメンバーや、負けたとしてもあとほんの少しで当選できたメンバーを除いて、民進党から希望の党への移籍は一切拒否すべきだった。その小池さんの織田信長ばりのバッサリ斬りの方が、有権者に支持されたのではないかと思う。そうなると希望の党の候補者数はそれほど多くの数にならなかったかもしれないが、二大政党制の第一歩として考えれば、それで十分だった。そして民進党から希望の党に合流できなかった者、民進党の責任者としてあえて合流しなかった者は無所属候補として選挙戦を戦い、見事勝ち上がってきたメンバーが、さらに希望の党に合流する。小池さんの看板だけで当選した、根っからの新人議員だけでは強い野党にはならない。民進党の責任者として一定の責任を取らなければならない立場でありながらも、無所属候補として自力で勝ち上がってきたメンバーの力が、強い野党には必要である。この2つのメンバーが合わさって、初めて強い野党になり得る。」と選挙中に語っていたが、これは橋下の希望的なシナリオだったのだろう。選挙で勝てそうな人材だけ吸い上げるべきだったと本当に虫のいいことを言っている。
しかし、選挙が終わって希望の党に合流しようという方向とは現在、逆の方向に進んでいるように思う。まして今回は「小池さんの看板だけで当選した、根っからの新人議員」など存在しないように思う。逆風の中でなんとか生き残った議員がいるだけだ。小池を支え、小池の地盤を引き継いだ若狭氏すら惨敗したことを見れば「小池さんの看板」の神通力などもはやなかったことは明らかだ。
さらに『これからの強い野党は、「希望・維新」の枠組みか、「共産・立憲民主」の枠組みか。どちらの方が野党としてよりましか、の選択だ。』と橋下は書いている。この点についてはにわか仕立ての立憲民主党が第一党になったことで国民の支持がどっちに向いているか明らかだと思う。
読売新聞が選挙後に行った政党支持率は立憲民主14%(4%)、共産3%(3%)に対して希望5%(8%)、維新2%(1%)だったと伝えている。無党派層は24%(38%)と14%も減少している。多くの人が立憲民主に期待しているようだ。
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2大保守政党など国民は望んでいない。まして与党の補完勢力のような野党を望んでいない。自分たちの政策の実現のために世論の形で示された民意を無視して与野党が談合するような状況には我慢ならないと思っている国民は多いはず。
そして最近の記事によれば希望の党は党の体裁すら整っていなかったことが判明している。細野は希望の党設立以前に新党の準備が着々と進んでいるような発言をしていたが、真っ赤なウソだったようだ。
細野氏は選挙後の民放番組に立憲民主の長妻氏と同席で出演するはずだったが、渋滞で遅れたという理由で遅れて到着し、希望の党の今後の代表問題等について語っていたが、その眼は本当のことを言っているように見えなかった。率直に語る枝野氏とは対照的だと思った。小池や安倍ほど平然とウソをつける程の技量がないのだろうが、好感は持てない。
私は今後、希望がどうなろうとも立憲民主は希望の議員を受け入れてはいけないと思う。国会や選挙での野党協力は必要だと思うが…。
♦内閣不支持2か月ぶり支持上回る~NNNがこの週末に行った世論調査で、安倍内閣の支持率は41.7%、不支持は44.2%となり、2か月ぶりに不支持が支持を上回った。…野党がどのように再編されるのが望ましいかをたずねたところ、「立憲民主党を中心に再編する」が最も多く39.9%だった。続いて、「今のままでよい」が31.8%、「希望の党中心の再編」は6%、「民進党を再び結集する」は7.5%だった。…野党第一党に躍進した立憲民主党に期待することについては、「安倍内閣の政策や行動をチェックすること」が51.1%だった一方、「政権を担当する政党になること」は11.4%にとどまった。(2017年10月29日 日テレNEWS24)
おしまい