安倍政権になってから世論を誘導しようとする勢力がメディアを使って意図的に情報操作を計る場面が増えているように思う。私はいわゆる無党派だが、目的のために平気で嘘をつく連中が嫌いだ。
民主党政権下のときには素人のような政権運営にとても不安を覚えていたが、自民党も利益誘導で長年に亘って政権運営に携わっていただけでプロ集団でもなんでもないことが安倍政権になって露呈している。
安倍政権は官僚の人事権を握ったが、それは国民のための政治を行うためではなく、安倍総理の憲法改正を実現したいという個人的な願望を実現するための手段に過ぎず、自民党議員も首相が握っている選挙での公認権の前に委縮してしまっている。
現在は財務省の不祥事がクローズアップされているが、国立競技場問題や加計学園問題での当事者能力が欠如した文科省、またしても杜撰な運営が発覚した日本年金機構や裁量労働制法案での恣意的なデータ操作で追及された厚労省、暴言発言や情報隠蔽体質が露呈した防衛省、スーパーコンピューターの補助金不正受給詐欺事件が発覚した経済産業省、リニア新幹線の談合が立件された国土交通省と政府の管理能力の欠如が明らかになっている。すべての原因は安倍政権の政権運営のための”適材適所”人事だ。
民主党以上に安倍政権には官庁をコントロールする力量がないことが明らかになっている。安倍政権は人事権と利益誘導政策で官僚と国民をコントロールしようとしている。究極のバーター政治が行われている。
政権に邪魔な人間は積極的にマスコミへ情報をリークして排除する。その典型例が文科省の「天下り斡旋」問題で引責辞任した前文科事務次官の前川喜平氏だろう。
👉前川前事務次官への圧力問題 文科省をはねつけた市教委の神対応に称賛の声
政権維持のためなら人事権を通じて手段を選ばず、権力を行使することに何の躊躇いもない最低の人たちがこの国の中枢を担っていることを示す財務省の文書改ざん問題が国民の目をやっと開かせたように思う。
様々な不祥事は決して偶然ではない。自分を立ててくれ、憲法改正という野望に協力してくれる人は安倍総理にはすべてお友達なのだ。日本会議、経団連、ネトウヨ、そして野党の中の賛同者までお友達だ。衆院選のときですら希望の党が憲法改正に賛成するなら安倍総理には相手は敵ではなかったのだろう。
すべての文脈は憲法改正だけ。トランプ大統領も前オバマ大統領も単なるバーターの相手に過ぎない。韓国や北朝鮮との問題も憲法改正に必要な支持率を維持するための道具にすぎない。要は、安倍総理には憲法改正以外はどうでもいい問題なのだろう。モラルなど関係ない。支持率が維持できるなら強行採決でも何でもする。
おそらく、原発もどうでもいい問題なのだろう。政権を支えてくれる経産省の官僚が必要だから原発に前向きな政策を維持しているだけだろう。これまでの一連の不祥事の実行犯は原発を維持したい官邸の経産省官僚だということは明らかだ。すべてバーター取引だ。
♦エネ計画 議論尽くしたか 経産省審議会の骨子案判明~「原発は安い」の根拠は政府が二〇一五年に行った試算。一四年に原発を新設した場合の発電コストを一キロワット時当たり「一〇・一円以上」と推計した。火力発電の石炭(一二・三円)も下回る最も安い電源と位置付けた。その後、廃炉や除染費用など原発事故費用は増大した。「安い」の論拠は崩れたが、政府は試算を見直さず、エネルギー基本計画をつくろうとしている。(2018年4月27日 東京新聞)
読売がリーク情報を基にして状況証拠だけで前川氏の報道を行ったのも新聞への軽減税率適用に対するバーターなのだろう。読売は新聞への軽減税率の適用の理由として国民の知る権利を守るためと主張している。一方で最近、政府が検討していることが明らかになった放送の自由化についても国民の知る権利を理由に反対にしている。
読売は国民の知る権利を都合よく使っている。産経新聞と読売が安倍政権に迎合的なことは現在では誰もが知っている事実だ。そして2社とも過去に自民党の改憲草案より人権制限の強い改憲草案を発表している。普段、安倍政権に不都合な情報を報道せず、擁護するような記事ばかりを書いているメディアがどの口で国民の知る権利と言っているのだろうか。憲法上の知る権利を守るということは政権を監視する報道をするということではなかったのだろうか。
安倍政権は放送自由化で政治的公平性を義務付ける放送法第4条の廃止を検討していると伝えられているが、この間までその4条を理由に電波停止までちらつかせてメディアを恫喝していたのに見事な変身振りだ。その変わり身の早さはTPPのときと同じだ。
👉「放送の自由」のためにやるべきことはほかにある 政府方針には、議論の成熟度も、出し方も、中身自体も、失格の烙印を押したい
安倍政権に批判的なTBSやテレビ朝日を黙らせたいという意図が透けて見える。安倍総理にはモラルも一貫した理念もない。ただただ政権維持とその先にある憲法改正しか眼中にないのだろう。
読売が放送の自由化に反対しているのはグループ会社の日本テレビや読売テレビの既得権益を守りたいからだろう。読売テレビは政治的に公平とはとても言い難い番組を流しており、やはり、その口でということだ。
私はジムでランニングマシンを利用しているときによくTBSの「ひるおび!」を暇つぶしで見ているが、コメンテーターの八代英輝のわざとらしい中立を装った解説に反感を覚えている。安倍政権を擁護したいという意図でしゃべっているのは明らかなのにさも弁護士としての客観的な意見を装っている。
皆さんとは違うと思われるかもしれませんがとか、誤解されると困るのですがという切り出しでしゃべることが多い。その解説も無理がある。なぜ、こんな輩をコメンテーターとして選んでいるのだろうかと思う。
👉公文書改ざん、安倍応援団の八代英輝、北村晴男弁護士がこの期に及んで「朝日に立証責任」「証拠を見せろ」と恫喝|
おそらく、以前、官邸から放送法4条を理由に量的に公平な意見や情報の提供を求められたとこと関係しているのだろう。明らかに政権寄りのコメンテーターを加えることで量的公平性が確保されていることを示したいのだろう。
私は放送法4条を廃止して放送に対する規制を放送業界の自主性に委ねればいいと思う。憲法で報道の自由と知る権利が保障されている。ただし、放送の自由化には反対だ。今でも放送局は多すぎると感じているからだ。
NHKと民法は地上波とBSでたくさんの番組を流しているが、正直、見たい番組は限られている。とりわけ、民法のBS放送は地上波の再放送やテレビショッピング、韓流ドラマが大半で自社制作の番組はほとんどない。
地上波も低予算で製作できる雑学やクイズ中心のバラエティ番組ばかりだ。ネット事業者が参入したところで良質な番組が提供されるとはとても思えない。もし、自由化されれば過当競争でテレビ放送が今よりさらに劣化してしまうだろう。
そもそもネット事業者には良質なコンテンツを提供するだけの能力もないように思う。後先を考えない規制緩和は国民の利益にならない。観光バスや民泊の規制緩和で緩和後に必要なコントロールを市場原理では解決できないことが明らかになっており、規制緩和して利益を得るのは新規参入する事業者だけで必要な規制が放置されている。
安倍総理は原発がアンダーコントロール状態にあると世界に発信したが、そんな事実はどこにもない。安倍政権にあるのは利益誘導、バーター取引、情報隠蔽だけだ。アンダーノーコントロールが続けば将来世代には様々なごみだけが継承されることになるだろう。原発の汚染ごみだけでなく、レガシーとなるはずの国立競技場やリニア新幹線すら税金を食い潰すごみの山になる可能性がある。
衆院選で安倍総理は結果がすべてだと主張したが、モリカケ問題に端を発する官庁の不祥事の結果責任は自分で負う気はさらさらないようだ。相場操縦で蓄積した大量の国債や株式の処理をするのは安倍総理でないのは間違いない。未来のこども達への大きな贈りものになるだろう。
こうした状況でも安倍政権を擁護する頭のおかしな連中がいる。筆頭は旧大蔵省OBの経済評論家の高橋洋一だ。モリカケ問題から国民の目を逸らそうと懸命だ。主張は根拠のないおかしな主張ばかりだ。セクハラ問題で辞任したばかりの福田財務次官といい、財務省は東大を出ただけのおっさんの集まりだ。「敗北を認めた方がいい」のは朝日ではなく、高橋大先生のように思うのだが…
👉世界情勢の転換期に、この国はいつまで「加計学園」なのか(髙橋 洋一)
私は安倍政権になってから嫌いな芸能人が増えた。石坂浩二は年齢を重ねても若々しさを保っている安定感のある演技をする役者として好感を持っていたが、最近、テレビで流れている電気事業連合会のCMに出演しているのを見て驚いている。お金のためなのだろうか。
原発のコマーシャルにはこれまで舞の海、デーモン小暮などが起用されている。彼らは原発のことを深く考えたことがあるのだろうか。それとも、原発の廃炉等の問題は国の問題であり、依頼されて仕事として引き受けただけだということだろうか。
私は最近の若者にも疑問を感じている。すべての若者というわけではない。社会問題にきちんと目を向けている若者も多くいることは知っている。
一方で今がよければいいという刹那的な思想の若者が多いのも事実だ。選挙に行くより行列のできるお店のパンケーキを食べに行くのが大切だという若者がいる。昔に比べたらスマホで何でも調べられ、たくさんの情報に接する機会が多いのになぜ物事を深く考えようとしないのだろうか。
若者は失われた20年の被害者だとでも思っているのだろうか。現在の見せかけの好況が続いてほしいのだろうか。年金の減額や繰り下げの影響を最も受けるのが自分たちだと分かっているのだろうか。シルバー民主主義というメディアの批判があるが、現在ですら余裕のある老後を送っている人は一部だということを分かっているのだろうか。
現在、安倍政権が進めている改革という名の政策の結果責任を負わされるのは自分たちの世代だと分かっているのだろうか。現在でも若者の支持率が50%程度あるという。その理由が今の経済情勢が続いてほしいという理由だとすれば若者も既得権者にすぎない。
政府は必ず嘘をつき、責任をとらないということは歴史が証明している。若者は他人に責任を転嫁しているだけのように思えるのだが。
世代を超えて幸福な社会を実現するということが本当の未来志向だと思う。安倍総理の未来志向は早期の憲法改正の実現という目的のための方便のように思える。私には愛国心を持った若者がアメリカの国益のために海外の戦場に行くという脈絡が理解できない。それよりもアメリカに対しても対等な権利を持った国に日本がなれる日が来ることを望む。日本もアメリカも国民の幸福よりグローバル型の大企業の利益を優先しているように思える。
おしまい
(追記)防衛省にまたも不祥事
呆れてものも言えない。アンダーノーコントロールは治らない。
♦防衛省が内部告発漏らす 辺野古警備問題、個人特定可能な形~防衛省によると、二〇一六年一月、海上警備を受託した警備会社「ライジングサンセキュリティーサービス」(東京都)の従業員を名乗る人物が防衛局に電話し、警備に当たった人数の水増しがあると通報した。同局は工事の元請けの大成建設に調査を指示し、通報内容を記した文書を渡した。その際、通報者の氏名と連絡先は黒塗りにしていたが、社内での行動の情報などはそのままだった。(2018年4月27日 東京新聞)