日本社会の片隅にポッカリと大きな口を開けて、転がり込む者たちを待ち受ける“見えざるアリ地獄”があるのをご存じだろうか。ひとたびそこに転落してしまうと、容易には抜け出せなくなるという。それが「アンダークラス」と呼ばれる社会階級だ。…本書によればアンダークラスとは、「非正規労働者」全体から、家計補助的に働くパート主婦、非常勤役員や管理職、資格や技能を持った専門職者を除いた、残りの人々のことである。その人口は「およそ930万人」で、就業人口全体の15%ほどを占め、しかも急速に拡大しつつあるという。…アンダークラスとは別の階層として、貧困の危機に瀕した失業者・無業者が「283万人」(「労働力調査」2017年)もいることになる。…著者は、アンダークラスは「自己責任論」だけで解決はできない問題であると、強調する。また、自分は大卒で正規雇用だからと今安心している人でも、リストラや親の介護を機にアンダークラスに転落してしまう可能性はいつ起こるかわからないという。
(「ダ・ヴィンチニュース」より)