(2020/8/31 更新)
四人のリーダーの記憶に残る台詞が思い出される。
小泉元首相~自民党をぶっ壊す
橋下元大阪市長~衰退する大阪を変える最初で最後のチャンス
安倍総理~これまでのお約束と異なる、新しい判断
小池都知事~築地を守る
彼らの通った後には結局、何も残っていない。彼らの見ている蜃気楼は国民には見えない。小泉元首相は原発ゼロに向けた講演を今も続けているが、その意志を息子に託す気もなく、原発の再稼働だけが着々と進んでいる。飲み友達の二階幹事長に協力を仰いだらどうだろうか。小池都知事も二階幹事長の飲み友達だ。
彼らはしがらみを嫌い、改革を主張してきたが、彼らもしがらみの中で行動している。身内か、敵かで人を選別し、他者に厳しく、身内は守る。4人に共通している。
小泉元首相は進次郎を守り、橋下氏は家族を守り、安倍総理は明恵夫人を庇っている。そして4人とも自分の取り巻きを守っている。人間、誰しも自分を受け入れてくれる人間を必要とする。
仮想敵をつくり、反対勢力を排除するという劇場型政治を生み出した小泉元首相の責任は重い。彼の成功がその後の先例となり、ウソも方便のような風潮が社会に蔓延したように思う。
たまたま14年前の「小泉内閣メールマガジン」を発見して読んでみた。
そこにはこう書いてあった。
「最近、格差についての議論をよく耳にしますが、格差というのはどの時代でもどの国にもあるものです。かつては、悪平等という批判もかなり言われていました。努力しても努力しなくても同じというのでは、悪平等になってしまいます。一人ひとりが持てる力を発揮できる社会、努力が報われる社会というのは、世界中どの国でも好ましい社会と言われているのではないでしょうか。力のある人には、努力して、もっとその力を伸ばし、思う存分発揮してもらう。それが社会の活力になるのだと思います。」
言っていることは至極まともだが、現実の日本は努力した人が報われる社会とは言い難い。小泉元首相の描いたような社会にはなっていない。安倍政権は努力した人ではなく、自分たちになびく人を守り、自分たちを批判する人間を排除し、努力した人が評価されるのではなく、自分たちに都合のいい恣意的な人事が日本で横行している。
彼らの後に〇〇チルドレンが出現したが、結局、底の浅い人々だった。議員とは口先だけで多額の報酬を稼ぐ人たちの集まりのようだ。努力して力を伸ばした人がどこにいるのだろうか。
皮肉にも、小泉元首相のコメントの下に当時、官房長官だった安倍総理のコメントが掲載されている。当時の小泉元首相の目から見た安倍総理は努力した人だったのだろう。小泉元首相の節穴ぶりが窺える。
河井夫妻の逮捕で安倍政権の排除と利益誘導の政治が明るみに出ている。いまだに、自民党が河井案里氏の選挙活動に投じた1億5千万円の党の支出を誰が決めたかのか明らかにされていない。この構図は桜を見る会の招待者名簿が出てこないのと同じ構図だ。
👉河井夫妻の買収事件、安倍政権の責任は重大だ 案里陣営への巨額資金は「溝手落とし」のため?
桜を見る会では政府の責任が追及されたが、今回は自民党の責任が問われている。結局、安倍一強政治の源が自民党総裁への権力集中にあるのだから政府と党の責任を切り分けても意味がない。
総裁への権限集中も小泉政権のときに始まっている。権力集中で決断が早くなり、決められない政治から勝手に決める政治になってしまった。国民は決められない政治にうんざりしていたが、勝手に決める政治など予想していなかったはずだ。確かに自民党はぶっ壊れている。
モラルの欠けた人物がリーダーになると社会がどうなるかというお手本がトランプ政権の米国だろう。日本もたいして変わらない。モラルなきアメリカの大統領から信頼されている安倍総理をさすがに信頼している国民は少ないが、評価している国民が一部にいるのも事実だ。権力と利益誘導に弱い国民性を表しているのかもしれない。
👉身内からの暴露本で万事休す、トランプ大統領 唯一の姪・メアリー氏が装填した「2つの爆弾」とは~「トランプという男がカーニバルの客引き、ペテン師、極悪人であることを再認識させてくれた本だ」
安倍総理の行き過ぎた米国追随外交のお手本も小泉元首相とブッシュ元大統領との親密な関係を成功例として捉えていることにあるのだろう。小泉元首相はブッシュ元大統領の始めたイラク戦争を支持したが、戦争の根拠がうそであったことが世界的に検証された後に自分の判断について小泉元首相が語ったのを聞いたことがない。原発と同じように自分の判断の誤りを認めるべきだろう。
安倍総理が北朝鮮の拉致問題に執着するのも小泉元首相のときの拉致被害者の帰国で支持率が上がった成功体験に起因しているのは間違いない。北方領土問題等も外交問題での成果が政権の支持率につながると考えているからだろう。
安倍総理にとってトランプもプーチンも、そして習近平すら支持率を上げるための利益誘導の対象でしかない。外遊と海外へのバラマキでどれだけの税金が無駄に使われただろうか。
しかし、橋下氏の見解はまったく異なるようだ。彼は国政の不祥事から総理を救出したいのかもしれない。海外逃亡して内政は僕たちに任せてほしいとでも言っているように聞こえる。お互いに利益誘導で目的を達成したいのだろうか。「NewsBAR橋下」(ABEMA)に生出演した安倍総理に接している橋下氏がとても優しい人に見える。目的はガス抜きか、問題のすり替えなのだろうか。
私は一時期、小泉元首相を評価し、進次郎にも期待していたときがあった。しかし、最近はすっかり熱が冷めてしまった。
小泉元首相が解散総選挙まで行って推し進めた郵政民営化もJRのような成功例にはなっていない。それどころか、最近は郵便局が破綻の危機に直面しているという記事まで書かれている。残念ながら小泉元首相には原発同様、先の見通しなど持っていなかったのだろう。規制緩和で民間に任せればうまく行くという思い込みだけでビジネス社会の現実を知らない人の能天気な判断がこうした結果を招いているように思う。進次郎はそうした親のやり方だけをマネしているように見える。
一人のリーダーの誤りで組織や社会が変質してしまうことがあるが、優秀なリーダーが登場すれば社会が急激によくなるということもないということがオバマ大統領によって証明されたように思う。過度の期待は大きな失望につながる。
👉「答弁拒否」で民主主義を破壊する安倍政権。7年半で計6532回。
おしまい