2021/07/19 更新
沙鴎一歩という人の記事をときどき目にする。これまでは、新聞の読み比べをして論評する評論家だろうと思っていたが、最近読んだ質の悪い記事を読んで初めて沙鴎一歩とはいったい誰なのだろうかと思った。
正直、今までは肩書など気にして記事を読んでいなかったが、ジャーナリストを自称しているのに驚いた。自分で調べるわけではなく、各紙の社説を読み比べて論評しているだけのように見える。記事を読んで伝わってくるのは産経新聞の嫌韓意識丸出しの記事に違和感を覚えない人間のようだ。
私の父も子供の頃に朝鮮人という言葉をときどき使っていた。私は子供心にそういう差別的な言葉が嫌で父に文句を言ったことを思い出した。どんな内容のことを言ったのか今となっては思い出せない。父は私に対して愛情を持っていたので私の文句に反論するようなことはなかったことだけを覚えている。私は生理的に差別に対する反感を持っていたようだ。
だから、産経新聞の記事は生理的に受け入れられない。父の場合は、おそらく戦前の封建的な雰囲気の中で育ち、戦争を体験したことがそうした差別意識につながっていたのだろう。父は気の小さい、心根の優しい人間だったので韓国の悪口を私に聞かせるようなことはなかった。
一方で戦争体験もない戦後生まれのネトウヨがどうしてあそこまで過激なヘイトスピーチをするのだろうか。保守を標榜する人たちは国民を戦争に送り込んだ側の家に生まれ育った人たちなのだろうか。
たとえ、戦場で人を殺したとしても一握りの人間を除けば、庶民は決して加害者ではなく、被害者だったはずだ。そういう意味で韓国の一部の人が、日本国民全員が加害者だったかのようにいつまでも攻撃することには共感できない。戦前は日本も同調圧に従わなければ、今の北朝鮮のように生命の危険があったことを理解してほしい。
今の日本は同調圧に抵抗しても幸いに生命の危険に晒されることはない。しかし、同調圧を作り出す社会は壊さなければならない。自由に自分の考えを言い、間違った発言をしたり、反省するべき行動をしたときは素直に謝罪し、それを受け入れられる社会を作る必要があると思う。
話が逸れたが、沙鴎一歩の以下の記事は同調圧を求める独り合点の見解だと思う。ジャーナリストを名乗るならちゃんと自分の足で取材した上で記事を書いてほしい。それとも単なる一般人としての投稿のつもりなのだろうか。記事を読んだ限り、産経新聞の社説を称賛する根拠のない内容だ。
🔗「原発処理水の海洋放出」に反発する野党は、中国や韓国よりレベルが低い 「事故当時の政権幹部」の無責任さ
以前、やはりプレジデントオンラインに沙鴎一歩と同じような根拠も中身もない記事が掲載されていたことを思い出した。去年の6月のブログ「見え透いたうそ」で麹町文子なるペンネームのジャーナリストのことを書いた。麹町という名前は政治評論家を連想させるが、沙鴎一歩という名前は、ピンとこない。サイトの筆者紹介でさおう・いっぽと読むことはわかったが、意味が不明なのでネットで調べてみたら、沙鴎とは砂浜のかもめのことだそうだ。
麹町文子の記事も調査報道とは程遠い、明らかにやらせと思われる記事だった。プレジデントオンラインは興味深い記事もあるが、やらせ記事のことも多いので要注意だ。歯の浮くような記事だった。「アフターコロナの結論! やっぱり日本には安倍晋三総理が必要だ! 誰よりも批判したからこそ言える」という記事だった。去年の6月10日にプレジデントオンラインに掲載されている。
記事の主役は既にコロナ対策の失敗で総理を辞任している。現在のうそのような回復ぶりを見れば持病が辞任の本当の理由でなかったことは明らかだ。黒川検事長の後ろ盾がなくなったことで司法によって裁かれるかもしれないという不安とコロナ対策の失政による支持率の低下でストレスが溜まっていたのではないだろうか。そして、コロナ禍の違法麻雀で辞職した黒川検事長もコロナに裁かれたとも言える。ウイルスは誰も差別しなかった。
麹町文子の記事と沙鴎一歩の記事を比べると後者の方が、質が悪い。なぜなら、麹町綾子の記事はタイトルを見ただけで記事を読む気がしなくなる。記事を書いた当人は、本当は読んでほしくなかったのではないだろうか。編集者から頼まれて嫌々、引き受けたのではないだろうか。もし、彼女が持ち込んだネタなら編集者は何の迷いもなく没にしたことだろう。編集者自身、勘弁してほしい記事だったに違いない。二人は読者が読まないことを願っていたのではないだろうか。
一方、沙鴎一歩の記事は、国の原発政策を一見、正当化するような内容だ。しかし、正体不明のこのジャーナリストが原発に知見があるとはとうてい思えない。
この記事の悪質なところは国民感情を焚きつけ易い韓国と中国の処理水の海洋放出に対する反応から書き始めているところだ。「海洋放出をあえて問題視する中国と韓国」という小見出しは刺激的で国民感情を逆なでにする書き出しだ。まるで先入観を植え付けるための構成になっている。
「中国も韓国も、国際社会の中で自国の主張や立場を有利に展開しようと、日本の処理水の海洋放出をあえて問題視している。」という指摘は間違っていないだろうが、「IAEA(国際原子力機関)やアメリカが日本の海洋放出を支持していることからも明らかだ。」という情報の根拠を提示してほしい。文中で「本当に懸念する国民は多いのか。前述してきたように反発の声はあるが、地元福島の一部の関係者を除けば、表立っているのは中国と韓国、それに野党ぐらいではないのか。」とデータを示さずに独り合点の見解を披露している。
NHKの3月の世論調査では「福島第一原発では、汚染水から大半の放射性物質を取り除いた処理水が構内のタンクにたまり続けていて国の小委員会は海か大気への放出が現実的で海がより確実だとしていますが、最終的な処分方法は決まっていません。」と報じていたから処理水の海洋放出の決定の唐突感は否めない。海洋放出の決定は衆議院の解散のような総理の専決で決められるような問題でもない。
★国内の原発を今後どうすべきか?原発事故10年 NHK世論調査(2021/03/02)~処理水 海洋放出への賛否-「賛成とどちらかといえば賛成」は全国があわせて18%、福島県が24%でした。「反対とどちらかといえば反対」は、全国があわせて51%、福島県が46%でした。「どちらともいえない」は、全国が30%、福島県が28%となりました。
「10年前の福島第1原子力発電所の事故は、旧民主党の菅直人政権のときに発生した。菅政権は現在の立憲民主党の幹部らによって構成されていた。処理水をめぐる問題も旧民主党政権時から続いている。立憲民主党はこうした事実をどう考えているのか。本来ならば、海洋放出の政府決定を支持して原発事故の後処理に協力すべきではないか。」と沙鴎一歩は主張している。
しかし、民主党政権が原発事故の処理に携わったのは10年間のうちの最初の2年間もない。安倍・菅政権は原発がアンダーコントロールされているとうそを言ってオリンピックの開催に邁進してきたはずだ。問題を先送りして10年経ってみて、タンクが一杯になりそうだから海洋放出が現実的だと言い出したに過ぎないように国民からは見える。
海洋放出については漁業関係者の合意が前提だったはずなのに処理水の海洋放出は世界の常識だと主張して約束を反故にしてしまった。またしてもプレジデントの公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(4月13日配信)の中で橋下は次のように主張している。
「処理水は、これまで汚染水と呼ばれ、これを海に放出するということになればインテリ気取りの連中や、事情を知らない国民から一斉に反発を受けることは必至で、なかなか総理が決断することはできませんでした。ゆえに現在に至るまで、決断は先延ばしにされ、タンクに貯留され続けてきたわけです。もうタンクはいっぱいになります。このような状況の中、菅さんは決断した。まさに菅流です。この政治家としての決断について、反対する者も多いですが、支持する者も、いわゆる識者の中には非常に多いのです。しばらくは賛否の意見が沸き上がるかもしれませんが、この決断は総理にしかできないということが国民一般に知れ渡れば、菅さんの支持率が上昇する要素になると思います。」
賛成している非常に多いとされる識者とは誰のことなのだろうか。どうして賛成する人は識者で反対する人はインテリ気取りの連中なのだろうか。先延ばししてきたのは安倍政権であり、辺野古の問題同様に陣頭指揮してきたのは官房長官だった菅総理だろう。自ら先延ばしの片棒を担いでおいて地元にきちんと説明しないまま処理水の放流を決定したのが英断だというのはマッチポンプにすぎない。非難されこそすれ決して褒められたやり方ではない。
橋下の主張は今回の“決断”が菅政権の支持率浮揚のために行われたことを公表しているようなものだ。この主張は豊洲市場の汚染水問題での彼の主張とまったく同じだ。問題のすり替えがいつも起こっている。
🔗膳場貴子アナ、緊急事態宣言や東京五輪に向けた政府の対応をバッサリ。「全て代弁してくれた」と話題に
彼は文中で「それは政治家にしかできないこと、自分にしかできないことを粛々とやっていく。特に、インテリ気取りの一部メディアや学者、コメンテーターたちから批判を受けるようだと、これはしめたもの。野党が騒いでいるだけでも、良い傾向です。支持率が上がる兆候です。他方、インテリ気取りの連中だけでなく、その他の一般の国民までが批判に転じてくるとここは要注意。民意が離れていく兆候です。」と自分の逃げ場をちゃんと用意しているところは抜け目がない。
5月10日公表のNHKの世論調査で菅内閣の支持率は内閣発足後最低を記録し、処理水の放流の”英断”や携帯電話の値下げに国民は反応せず、民意はオリンピックを優先した菅政権のコロナ対策に手厳しい評価を下したようだ。これまでも彼の予測はたいてい外れているのに講演の依頼は順調なようだ。
★ 菅内閣 「支持する」9ポイント減の35% 内閣発足以降最低に~支持しない理由では、「政策に期待が持てないから」が40%、「実行力がないから」が39%、「人柄が信頼できないから」が9%などとなりました。(2021年5月10日 NHK)
★ 内閣支持32.2%、発足後最低 コロナ対応評価せず64%―時事世論調査~時事通信が7~10日に実施した5月の世論調査で、菅内閣の支持率は前月比4.4ポイント減の32.2%、不支持率は6.9ポイント増の44.6%となった。支持率は政権発足後最低で、不支持率は最も高かった。不支持率が支持率を上回るのは5カ月連続。…政党支持率は自民党が21.4%、立憲民主党が4.4%。公明党2.6%、日本維新の会1.9%、共産党1.5%、国民民主党0.5%と続き、社民党、NHK受信料を支払わない方法を教える党(NHK党)、れいわ新選組は0.2%だった。(2021/05/14 時事通信)
🔗内閣支持率急落で衆院解散の決断困難に、カギ握るワクチン(各社の世論調査一覧掲載)
★菅首相、「五輪」譲らず=立憲、中止要求鮮明に―衆参予算委~首相は気色ばみ、「五輪ファーストでやってきたことはない。国民の命と暮らしを最優先に取り組んでいる」と反論した。だが、感染状況と開催の可否の関連については「厳格な感染対策を行って準備を進めたい」として答えず、政権浮揚効果が見込まれる五輪の開催にこだわる姿勢が浮き彫りになった。(2021/05/11 時事通信)
★自民幹部、菅首相の再選支持~二階俊博幹事長は記者会見で「政治の安定が一番大事だ。首相に対する国民の期待、支持は順調な高まりを見せている」と述べた。佐藤勉総務会長も会見で、安倍晋三前首相が菅氏の再選支持を表明したことについて「菅氏以上に喜んでいる」と歓迎。安倍氏の発言の趣旨を「『政局をしている時期ではない』というメッセージだ」と指摘した。(2021/05/11 時事通信)
★菅首相「任期いっぱい続けて」47% 「早く辞めて」40% 世論調査(2021/5/22 毎日新聞)
★菅内閣支持率、「危険水域」の30%割れ目前-衆院選に影響も~調査は9日から3日間実施した。支持率は6月の前回調査から4ポイント下落した。不支持率は前回調査より1ポイント増の46%で、発足以降最高だった。読売新聞の9-11日の調査でも、内閣支持率は37%で最低だった6月調査から横ばいだった。(2021/07/13 ブームバーグ)
★菅内閣支持29.3%、発足後最低 初の3割割れ―時事世論調査~時事通信が9~12日に実施した7月の世論調査で、菅内閣の支持率は前月比3.8ポイント減の29.3%で、不支持率は5.6ポイント増の49.8%となった。政権発足後、支持率が3割を切り「危険水域」とされる20%台に落ち込むのは初めて。逆に不支持率は最高となった。…菅義偉首相が感染対策の「切り札」と位置付けるワクチン接種の進捗(しんちょく)に関しては、「遅い」が71.5%と、「順調」の17.7%を大きく上回った。「どちらとも言えない・分からない」は10.8%。(2021年07月16日 時事通信)
🔗支持率「暴落」菅政権の裏で、「ポスト菅」に急浮上した「意外な人物」の名前
🔗橋下徹(はしもととおる) | 講演会の講師依頼・紹介なら講演会なび
政治家にしかできないという橋下の上から目線の選民意識と反対する人間はインテリ気取りといういつもの決め台詞には、進次郎のご当地ネタと同じでもう飽き飽きしている。国民の劣情を煽る税金泥棒というフレーズを最近使わなくなったのはアベノマスクの教訓があるのかもしれない。権力に批判的に見える一方で権力に迎合的にも見え、クリック数を稼ぎたいネットメディアを利用する手法は相変わらずと言える。プレジデントオンラインの沙鴎一歩と橋下徹の記事は連動しているのかもしれない。ガス抜き進次郎とすり替えの徹を支持している人は彼らに何を期待しているのだろうか。
🔗〝ポエマー進次郎〟がまたも〝降臨〟!「46という数字が浮かんできたんです」
★「アベノマスク」評価は?=全戸配布開始から1年―使用3.5%「意図伝わらず」~「アベノマスク」とやゆされた布マスク2枚の全戸配布を政府が始めてから、17日で1年が経過した。「税金の無駄遣い」と批判が相次ぎ、届いたマスクを福祉団体などに寄付する動きも広がった。政府は「一定の効果はあった」と主張するが、芳しい評判は聞こえてこない。…厚生労働省によると、全戸配布にかかった費用は総額約260億円。日本郵便のシステムを活用して約1億2000万枚を配り終えたのは、開始から2カ月後の昨年6月20日ごろ。既にマスク不足はある程度解消した時期だった。
(2021/4/18 時事通信)
沙鴎一歩は「これまで長い間、原発を前向きに扱ってきた産経新聞の社説(主張)は「処理水の海洋放出『風評』に負けてはならぬ」との見出しを掲げ、「ようやく事態打開の可能性が見えてきた」と書き出す。掲載日も他紙よりも早く、政府が海洋開発を決める2日前の4月11日付である。」と書いているが、記事の情報源が菅政権だということはわかりきっているので間抜けにすら見える。
「政府や東電の側に立つわけではないが、海洋放出は避けられないのである。」と書いているが、ここは「政府や東電の側に立てば」とストレートに書いたらどうだろうか。中立を装うのはやめた方がいい。
「もちろん、モニタリングは欠かせないし、情報公開という透明性の確保も必須である。ただ、この10年間、対話を通じて地元の大半は海洋放出の安全性には理解を示しているはずだ。彼らが心配するのは、消費者の理解不足から生まれる風評被害なのである。」と結んでいるが、この認識は沙鴎一歩の独り合点なのか、請負記事の用意された結論なのか不明だ。
そもそも、安倍政権になってから公文書の改ざんを散々繰り返しておいて海洋放出問題に限り、「情報公開という透明性」が確保される保証はどこにもない。それどころか、放出してみたらトリチウム以外の放射性物質が混ざっていましたと後から露見するのが落ちなのではないだろうか。モニタリングが十分に機能せずに関係者に多大なる心配をおかけしたことは深くお詫びしますだけで終わってしまう可能性が高い。
橋下はそのときに判断ミスを認めるかもしれないが、決定した人間は誰も責任をとることがないのは間違いないと思う。未だに河井夫妻の選挙で1億5千万円の支出を誰が決定したのかすら公表しないくらいだから情報公開に否定的な自民党を信用できるはずもない。これまで国民との信頼関係を壊してきたのはいつも国の方だ。
橋下徹が1億5千万円の支出について安倍前総理と二階幹事長の責任に触れているが、当時官房長官だった菅総理について何も言及していないのはなぜだろうか。忘れたはずはないので彼の発言には注意が必要だ。
★自民党重鎮「関与否定」発言から明らかになった「1億5千万円提供の指示者」~関連書類「仮還付」は可能~事ここに至って、にわかに自民党重鎮間で「関与否定発言」の応酬が起きたことで、それが誰であるかが一層明白となった。そして、その資金提供の指示が、地元政治家に、党からの交付金を現金で渡すことになると認識して行われたことも、否定することは困難となっている。(2021/05/23 Yahoo!ニュース)
★二階氏、1.5億円支出「責任は総裁と私」「関係ない」発言一転~この日の会見で、林氏は「甘利氏(の職務)は党の公認や選挙区調整が主だ。実際に支出には関与していない」と釈明。各種調査を踏まえて組織決定したとし、使途に関しては「買収資金に使われていないことは検察庁から書類が返ってきたら立証できる」と強調した。( 2021/05/24 毎日新聞)
★安倍前首相、関与を問われても…だんまり 河井氏への1.5億円提供~党総裁当時に案里元議員の擁立を主導し、二階氏から資金提供の責任者として事実上名指しされた安倍氏は、25日の衆院本会議後、記者団に「支出に関与したのか」「1億5000万円の8割が税金で賄われている。説明責任はどう考えるか」と聞かれ、無言で国会を立ち去った。(2021/05/25 東京新聞)
そもそもトリチウムの人体への影響については正確にはわからないのが実態なのではないだろうか。コロナ対策では1年経ってもスーパーコンピューターでできることは飛沫予測くらいだ。散々、AIの活用が喧伝されていたが、AIはデータの統計解析の応用以上に進歩することはないだろ。データがなければAIも何もできない。かと言ってトリチウムの人体への影響について実験してデータを集めるわけにもいかないだろうから本当のことはいつまで経っても誰にもわからないということだろう。
今の東京電力のレベルでは、放流する処理水が本当に安全かどうかわかるはずがない。それどころか、国が決めた基準に従った濃度を守って処理水を放出できる能力があるかすら極めて疑わしい。経済産業省の政策はいつも机上の空論に過ぎない結論ありきの政策ばかりで信用できない。彼らこそ予算獲得と天下りを目的とするインテリ詐欺集団だと思う。橋下が本当に攻撃する相手は彼らではないのか。責任を取らない官僚が作成した政策を中身より選挙を優先する政治家がどうやって責任を取るのだろうか。彼らは選挙で当選すれば不祥事を帳消しにしてもらえる。そんな法律はいつできたのだろうか。
処理水の海洋放出に関する様々な記事を読んでみたが、私が一番、妥当だと思ったのは次の記事だ。
🔗原発処理水の海洋放出「トリチウム水だから安全」の二重の欺瞞
「トリチウムは水から分離することが技術的に難しく、また体内に取り込んでも出ていきやすいので、大きな健康被害は起こりにくいとされている。そのため、海外での原子力発電所でも「トリチウム水」の放出は行われている。だから問題ないのだ、と日本政府は主張している。」と筆者は伝える一方で「しかし問題となっている汚染水は、2018年、他核種処理設備ALPSでの処理を経ているにもかかわらず、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素131などトリチウム以外の放射性核種が検出限界値を超えて発見されたという経緯をもつ。それまで東電は処理水内のトリチウム以外の核種は検出できないほど微量であると主張しており、データが存在していたにもかかわらず、それを説明しなかった。これによって政府・東電の信頼性は大きく損なわれ、海洋放出の決定は先延ばしになっていた。福島原発事故を経て、大量の核種が紛れ込んだ福島第一原発の汚染水は、他国で通常運転している原子力発電所から排出される処理水とはまったく性質が異なるものだ。東電は2020年末に試験的な二次処理を行い、トリチウム以外は基準値を下回ることに成功したと発表した。しかし、海洋放出を予定している2年後までに、再処理がトラブルなく間に合うのかはまったく不透明だ。」と指摘している。
さらに「この海洋放出の決定に、もっとも激しく抗議しているのが、福島県の漁業関係者だ。国は魚介類に対する「風評被害」が出た場合は補償するとしているが、基準も曖昧で信用できない。そもそも2015年、東電は漁業関係者の理解なしに処理水は海洋放出しないという約束をしていたという。そうであるならば、今回の決定は、その約束を反故にしたかたちとなる。…そもそも、再処理や海洋放出に関する具体的な計画を東電はまだ作成していない。安全な処理水を排水可能な見通しが全くたっていない状況下で、海洋放出を行うことだけが正式決定されたのだ。既成事実をつくり、反対や疑念の声を権力的に押しつぶすやり口は、安倍政権時代から続く自民党政治の常套手段だった。安保法制にせよ共謀罪にせよ、強権的な手段で批判の多い物事を決定してから、事後的に「丁寧な説明」をすると述べる。しかしその「丁寧な説明」は行われることはなく、やがて市民は忘れてしまう(そもそも、すぐ忘れてしまう市民にも問題があるともいえるが)。海洋放出の問題で真っ先に問われるべきは、政府・東電の不誠実性なのだ。」と続けている。
筆者の次の結論に賛成する。
「そもそも、核のごみの処分を将来の技術革新に丸投げする「トイレなきマンション」として運用を進め、その唯一の希望だった「もんじゅ」が大失敗しても誰も責任を取らないという時点で、原発政策のモラルは崩壊しているのだ。原子力発電事業は断念しなければならない。原発事故の深刻さを少しでも誤魔化して原発事業の延命を図ろうとしているから、前首相がアンダーコントロールという嘘をつき、「トリチウム水」と称する汚染水を海に流そうとする。」
この記事を読んだ後に産経新聞の次の記事を読めば、産経新聞が誰の意図を組んで記事を書いているのかわかると思う。彼らの情報源は言わずもがなだ。捏造された世論調査を掲載するような新聞社が自ら調査報道を行うわけがない。
🔗海外でもトリチウム放出 韓国原発は年間136兆 仏再処理施設は1・3京
沙鴎一歩の過去の記事を調べていたら次のような記事を発見した。これも立派な同調圧だろう。敬意を払えないようなうそをつき続ける人間に対してどうして礼を尽くすことができるだろうか。
🔗「総理がおっしゃる」テレビの過剰な尊敬語に違和感 メディアと「対等」なのになぜ?
今日、たまたま見ていたゴゴスマに出演していた東国原氏がしきりと「菅総理がおっしゃる」を連発しているのを聞いて強烈な違和感を感じた。この人が菅総理と面会して揉み手して話す姿を思い浮かべてしまった。きっと腰巾着のようにうまく立ち回ることだろう。
おしまい
(追記1)
プレジデント社は本当によくわからないメディアだ。調査報道とかけ離れた記事を載せていると思ったら、今度は調査報道をテーマにした対談記事を掲載している。
🔗なぜ日本のマスコミは「マスゴミ」と呼ばれるようになったのか 「調査報道」が注目される本当の理由
(追記2)風評被害を解決する方法
沙鴎一歩は処理水の海洋放出の問題は風評被害にあり、科学者でもないのに処理水の安全性が保証されているという受け売りをあたかも自分の知見のように書いている。
「福島県の漁業関係者が海洋放出を問題視するのは、消費者が放射性物質の存在を気にして購買を止めることにある。前述したようにトリチウムの出す放射線はかなり弱く、紙1枚で遮ることができる。地球上のどこにでも存在し、放射線が半分になる半減期は約12年と短い。しかも海洋放出では海水で薄められる。むやみに恐れる必要はないのである。こうした事実を政府は懇切丁寧に説明し、国民の理解を得る必要がある。」
もし、本当に安全を国が保証できるなら処理水を全国の海に放出したらどうだろうか。沖縄の基地問題もその背景には、なぜ沖縄だけに米軍基地が集中するのかという不平等感がある。福島の漁業者も根底になぜ自分たちだけが苦しまなければいけないのかという思いがあるだろう。基地の分散や移設に比べたら、処理水の全国での放出は物理的な制約はないに等しい。
無責任なことを言うが、処理水を全国の海に分散して放出すれば1か所に放出するよりも希釈されてよりリスクが軽減されることになるだろう。風評被害は福島だけの問題でなくなり、全国の問題になる。もし、全国の海に処理水を放出することになれば海外に海産物を輸出することができなくなるかもしれない。影響は海産物だけでは済まされないかもしれない。
二階幹事長の「海洋放出は国際的にも広く認められたやり方だ。」という発言を実証することができるはずだ。自民党は全国の海への処理水の分散放出を争点にして選挙を戦う勇気があるだろうか。全国的な処理水の放出となれば、福島以外の国民も他人事でいられなくなる。多くの国民がこの問題に対して真剣に向き合わざるを得なくなるだろう。どちらでもないという答えは反対しないということになる。大阪の吉村知事が次のように発言したことが報じられている。ガス抜き発言でなかったことが証明できるだろう。
「自民党の派閥である志帥会(二階派)に客員会員として入会」して自民党転入待ちの細野豪志衆議院議員が処理水について吠えている。トリチウムの安全性を強調しているが、ALPS(多核種除去設備)で二次処理した後の処理水に残存するセシウムやストロンチウムなどの核種についての見解を述べていない。処理水が安全というならその点についても明確な発言をしてほしい。
この間、議員パスの不正使用で叩かれた山尾志桜里議員も自民党への転入を目指していると報じられており、奇しくも二人とも強力な憲法改正論者だ。かつての民主党が一枚岩になれなかった理由がわかる。政権交代が実現しても立憲と大企業の御用組合集団の連合に依存する国民民主が連立を組むならあの民主党になりかねない。批判記事のタイトルのTBSのサンデーモーニングに批判殺到という事実は本当だろうか。ソース記事を拡散しているメディアはあるが、処理水を汚染水と発言したとお笑い芸人のほんこんが批判しているくらいだ。批判しているのは特定のメディアや利害関係者が中心ではないだろうか。同調圧を感じるのは私だけだろうか。
🔗TBS「サンデーモーニング」原発処理水の報道で批判殺到 元担当大臣が指摘する問題点
🔗ほんこんが“サンモニ”青木理氏の汚染水発言を批判「このような発言が風評被害、風評イジメになる」
🔗山尾志桜里氏の引退表明に同期が「自業自得」与党での復帰を予測