(2022/04/03 更新)
私は最近、尖った人たちに厭き厭きしている。”あきる”という文字は普通、「飽きる」を使うが、変換候補を見て「厭きる」の文字の方が自分の気持ちと合っている気がした。
かつては小泉元首相やホリエモンに日本の閉そく感を破ってほしいと期待していた頃もあったが、振り返えって見ると彼らが何を実現したのだろうかという疑問だけが残る。
郵政民営化は小泉氏の改革の象徴だったが、今は「郵政 民営か?」というのが偽らざる気持ちだ。郵政民営化に反対した族議員は、安倍政権でほとんど自民党への復帰が終わったのではないだろうか。
そして、政治に関わらないと言っていた小泉氏はお世話になった政治家の娘というだけで昨年、当時の自民党幹事長だった二階氏を訪れ、彼女を比例区の候補にしてもらっている。しがらみのない政治を貫き、政界から引退したはずだったのではないだろうか。しがらみと恩返しは別の次元の話なのだろうか。口利きの見返りに脱原発への賛同を求めなかったのが政治に関与しないということだったのだろうか。
政治から距離を置いた形をとっているのは“よく勉強している”息子の進次郎のためなのだろう。小泉氏が進次郎のことをこれからの“若造”と言ったり、“よく勉強している”と表現しているのは、進次郎の本当の実力を親としてよく理解しているからだろう。
そこには、自分の息子にはしあわせになってほしいという親ばかが根底にあるように思う。いつか育ってくれるという親の欲目を感じる。自分の子供がかわいい。孫がかわいい。そのために自分の行動を抑制する人に改革を実現することなどできないのではないだろうか。ライフワークの原発問題も既成事実だけがどんどん進行してしまっている。
こどもを最優先にするのは結局、自分がかわいいからなのではないか。こどもを大切にすること自体は批判されるべきことではないし、こどもを大切にしない人が他人を大切にできるとも思わない。しかし、過保護は人間をダメにすることになる。いつまでも親離れできない、つまらないこどもじみた大人が再生産されるだけだろう。
立憲民主の蓮舫氏も小泉氏と変わらない親ばかのようだ。自分のこどもだけは幸せになってほしいというのは多くの人間が超えられない究極のエゴなのだろうか。こどものためなら譲れないはずの主義も主張も封印する姿に共感できない。なりふり構わない親ばかは傍から見ると滑稽ですらある。
🔗蓮舫議員、長男が元自民議員と養子縁組 夫、母、子供まで離れ“家族崩壊”も
小泉氏が後継者として選んだ安倍氏はこどもじみた大人の典型のように思う。自分に批判的な人間は権力と金で排除する姿はわがままに育てられて承認欲求を満たすためにだけのいつまで経っても大人になれない幼児のようだ。
小泉氏の主張した聖域なしの改革とは、何でも壊せばよくなるという錯誤にすぎなかったように思う。きっと後先のことは何も考えていなかったのだろう。小泉氏が好きな「人生いろいろ」という歌(私も好きな曲の一つだが)のように破壊した後はよろしくねみたいなことだったのだろう。郵便局は民営化されたはずだが、何か変わったのだろうか。
郵貯資金が年金資金同様に株式市場に流れ込み、海外ファンドに恩恵をもたらし、株高につながったが、売るに売れない含み益になんの意味があるのだろうか。原発同様に撤退どころか、今や前進もできなくなっている。
小泉氏は自民党をぶっ壊すと言ったが、その結果として政党としてのモラルが完全に壊れ、原発事故で生じた燃料デブリのような扱い難い組織に変質してしまった。
安倍氏にとっては、経済政策も外交政策も憲法改正の手段でしかなく、国民の幸福の追求は二の次であり、憲法改正が政治目的になってしまった。承認欲求が目的になってしまった。
小泉政権後にホリエモンや橋下徹を代表とするモラルなき毒舌人種が増殖し、改革という名前の破壊がつづき、今や日本の社会はアイデンティティを失いつつある。
東京オリンピックのために建て替えられた国立競技場が改革の姿を象徴しているように思う。オリンピック後に残った新国立競技場を見学したいと思う人がいるだろうか。100年後も残っているレガシーには到底なり得ないと思う。
👉東京都が神宮再開発で由緒ある樹木892本伐採 小池知事は「保守」を名乗る資格なし~小池知事はやたらに「元環境相」を強調し、エコやSDGsを標榜するが、神宮再開発は真逆の計画ではないか。
なぜなら、国立競技場を見ても何も感じないからだ。コロナがなく、オリンピックが盛大に行われていたとしてもその気持ちは変わらないだろう。そこには人知の偉大さや不思議を伝えるものが何もないからだ。作った人々の気持ちや時代背景が感じられない建造物に歴史が感じられるはずもない。
ポツンと一軒家に出てくる建物の方がよほど心に残る。そこには建物と家族の生活の歴史を視聴者が想像できるからだと思う。上っ面だけのオリンピックの開会式や閉会式は人々の心に残ることはないだろう。セレモニーの出来不出来の批判すら意味がない。
小泉氏は郵政民営化で何を残しただろうか。株式会社化されただけで中身は何も変わっていないのではないだろうか。雇用不安定な非正規労働者を増やし、労働の喜びや価値の喪失につながっただけのように思う。
親方日の丸で働かない労働者は本当に減ったのだろうか。今も幹部や管理職に働かない、働いているふりをしている労働者とは言えない人たちがたくさんいるのではないだろうか。
小泉氏は政治に関与しないというポーズを取っているが、二階元幹事長や小池百合子とときどき宴席を通して交流している姿が報道されている。脱原発の講演は政治活動でないと言えるのだろうか。政治の関与なくして脱原発は成し遂げられない。
自分が首相当時の原発容認を反省して脱原発をめざしているなら、脱原発実現のために講演以外にできることがいろいろとあるのではないだろうか。それとも引退して責任のなくなった水戸黄門役を演じているのだろうか。気楽な立場だ。既成事実だけが進行していく現在の状況を見ると小泉氏にはとても失望している。
総理大臣時代にエネルギーを燃焼してしまって今は、余生を楽しんでいるのかもしれない。そのこと自体を批判するつもりは毛頭ないが、希望はやがて失望に変わるというのは男女関係だけではないようだ。
小泉氏の郵政民営化は安倍氏の目標としている憲法改正とよく似ている。二人とも目標を実現した後の展望がない。小泉氏には目標を実現した先の国民の生活がどうなるのかきちんと考えていたのか不明だ。民営化さえすれば民間の力で必ず良くなるだろう程度の見識しかなかったのだろう。憲法を改正すれば国際関係が変わるのだろうか。
国鉄の民営化と比べて郵政民営化は何も実現していないし、国民の幸福にはつながっていない。小泉氏も結局、自分の過ちを認めることができない人種なのだろう。
二人とも単純な思考回路の親米派なのだろう。改革を訴えるが、アメリカに対しては思考停止状態で敷かれたレールの上を走るポンコツ列車のようだ。
小泉氏は昨年、イラク戦争について「イラクが査察を認めていれば戦争は起こらなかった」と発言している。信念とは絶対に自分の非を認めないことなのだろうか。この論理だと北朝鮮が査察を受け入れないためにアメリカが北朝鮮を攻撃したら支持することになるのだろうか。攻撃された国の国民のことに思いが至らないのだろうか。
🔗小泉純一郎元首相「イラクが査察を認めていれば戦争は起こらなかった」18年前の「開戦支持」に言及
結局、尖った人たちは言いっぱなし、やりぱなっしの自分が正しい人間ばかりのようだ。小泉劇場は既に幕を下ろしているが、橋下劇場は活躍をテレビの場に移して続いている。小池百合子劇場は幕を下ろしたのかと思いきや誤報だったようだ。
しかし、尖った役者の演技に観客の国民は厭き厭きし始めている。所ジョージの「ポツンと一軒家」が人気なのは、狐と狸の化かしあう目まぐるしい展開のドラマに厭き厭きしているからではないだろうか。
素朴とか、誠実とか、穏やかとかいった価値観が見直されているように思う。自然の中でのんびり暮らすことへのあこがれ。ポツンと一軒家でも誰かしら支えてくれる人がいれば人は孤独でないのかもしれない。
おしまい
(追記1) 岸田政権の支持率が落ちない理由
岸田政権の支持率が落ちないのも「ポツンと一軒屋」と同じ理由のように思える。コロナ対策は後手に回っているが、安倍・菅政権と違い、情報を隠蔽するような対応をとっていないことが国民のストレスにつながっていないのだろう。
岸田政権に対する積極的な支持というよりこれまでよりましだということだと思う。前政権の負の遺産は民主党政権を上回るものがある。多くの国民が求めているものは穏やかな暮らしだ。
安倍・菅政権時も現在も責任を取りたくない官僚の仕事は何も変わっていないということだろう。改革とは国民の幸福につながる政策のことで尖った人の承認欲求を満足させるためのものではないはず。今の政治家は勘違い人間ばかりだ。
🔗支持率が全然、落ちなかった岸田内閣 オミクロン拡大しているのに? 医療逼迫「不安」だけど支持する人々
★3回目接種「遅い」73% 内閣支持率横ばい、共同通信調査~岸田内閣の支持率は56.6%で、1月の前回調査から0.7ポイント増の横ばい。不支持率は2.2ポイント増の27.4%だった。(2022/02/20)
★異例 “発足半年”5割維持は4内閣だけ~発足から6か月、内閣支持率が50%を維持し続けた内閣というのは細川内閣、小泉内閣、そして第2次安倍内閣に岸田内閣と4つしかありません。…岸田内閣は、発足時はそこまで高くなかったのにその後、上昇し、高い水準を維持しているという極めて珍しい例だと言えそうです。 その理由は、先ほどもお伝えしたように、ロシアの侵攻や新型コロナへの対応といった目の前の課題への対応がおおむね肯定的に評価されているからだと分析できそうです。(2022/04/03 日テレNEWS)
(追記2) 大阪のコロナ死者数が最悪の理由
橋下元府知事のが進めた改革の成果?が現在の大阪の医療崩壊につながったのだろう。ツーイートで反省の弁を述べても取り返しはつかない。後先関係ない改革、民営化すれば経済がよくなるという根拠のない主張、いつも結局、だれも責任を取らないから何も変わらない。
先送りと過ちの繰り返しで日本の無国籍化とアイデンティティの喪失だけが進んでいくことだろう。グローバルで働くという選択は、きっと原発と同じ道を辿ることになるだろう。後戻りできない、思考停止の改革という名の破壊が続く。
🔗医療ひっ迫の大阪市が高齢者施設に「救急車より相談窓口へ」と促した文書入手「電話つながらない」と困惑
🔗救急搬送「46病院に断られた」コロナ拡大、大阪の医師が見た現実
🔗高齢者施設で“手遅れ死”多発…第6波死者数突出の大阪では6割超の施設が医療提供ナシ
🔗大阪でコロナ死続出!吉村“言い訳”知事が説く「高齢者と若い世代の生活圏が近い」の真偽