2022/08/25 更新
最近は、本を買っても積読になることが多い。この本もしばらく、積読状態だったが、電車の移動中の座席で少しずつ読み進めていた。そして、今日、自宅で最後の章を読み終えた。
パソコンでニュースや記事を読み、パソコンで文章を書くことが多く、紙に書く内容はメモということがほとんどだ。字を書くのが面倒になり、早く済まそうと流し書きのようにメモを取るので後で自分が書いた文字が読めなくて苦労している。メモを書いていて本当に漢字が出てこないと痛感している。
判読不能の文字の羅列を後から推測して読んでいるのだからどうしようもない。かといって思い付くたびにパソコンやスマホに入力するのも面倒くさい。それでも思い付いたことを記録するときは紙が一番便利だ。たまにメモる代わりに文章を写真に撮ったりすることもあるが。
時々、後々読めなくなることを反省して楷書でゆっくりとメモを書くこともあるが、いらいらして自分がいる。そんなに急ぐ必要もないのに。デジタルツールの弊害なのかもしれない。パソコンなら入力しながら変換候補が表示されるので長いセンテンスでも選択して入力することが可能だ。知らず知らずに便利さに使われているのかもしれない。
デジタルツールは、人間を幸福にするためのものではなく、効率的に作業させるための手段なのかもしれない。生産性を上げて短期間に結果を出すことが最優先される社会は息苦しい。私は、AIとか、生産性という言葉を見聞きするとソフトバンクの孫氏が頭に浮かぶ。彼が追及しているのは、よりよい社会ではなく、新技術で成長する企業に投資して最大のリターンを得ることだけなのだろうと思う。AIは金儲けの道具にすぎないのだろう。
経営者や幹部、政治家は何かというと「スピード感を持って」というフレーズを好んで使う。短時間で結果を出すことがいいことで、労働者は地道な仕事より拙速でもいいから早く結果を出すことが求められ、その癖、トラブルがあれば経営者は責任回避に走る。家庭では、こどもも早く結果を出すことを親から求められる。デジタルツールは、結果を出すための道具にすぎないとしたら人間は何をやっているのだろうか。
菅前総理が1日100万件の接種を目指して設置されたワクチン接種大規模センターは、こうした成果主義の典型例だったように思う。目的は、国民のためでなく、支持率回復のためだった。残念ながら、支持率の回復にはつながらなかったのに首相から降りた後に自画自賛している姿にはとても共感できない。
『スピードこそが価値を持つ世界の中で、私たちは「早くしないと置いて行かれる」と急がされている』(262頁)と本書には書いている。
本書は時間をかけてゆっくりと読んだので全体的な感想を書くことはできない。しかし、今日読んだ最後の章に触発されて久々にブログを書いている。
本書はタイトルだけ読むと陰謀論のような内容を想起させるが、きちんと情報を調べて出典を明らかにしているので啓蒙書としてはよく書けていると思う。文章も平易で読みやすい。読んだ人の書評も好意的なものが多く、悪意に満ちたコメントは見られない。やらせらしい投稿も見られない。
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このところ、連日のように安倍元総理の殺害事件の報道が続いている。最近、TVニュースで奈良市の現場近くに設けられた献花台を訪れた若い女性のコメントを流していた。20代のパートだという女性は国のために尽くした人が亡くなって心が痛むというようなコメントをしていた。
人の死を悼む気持ちを批判する気はさらさらないが、女性の国のために尽くしたという発言は何を根拠にしているのだろうか。残念ながら、私は共感できない。安倍・菅政権で人事権と利益誘導により、情報公開が大きく後退し、平気で見え透いた嘘をつく官僚の姿に怒りと日本の将来に対する不安を長い間抱いてきた。
女性は、普段、スマホでSNSの気に入った情報だけを選んで読んでいるのではないだろうか。安倍元総理を批判するような記事はフェイクニュースか陰謀論だと思っているのではないだろうか。
デジタル情報は簡便で早いが、中身は二の次なっていることを自覚しているだろうか。本書はそのことを指摘している。受動的なデジタル情報だけに頼っていると自分で考えることができなくなってしまう恐れがある。
「商業サイトのビジネス性から、記事の質より閲覧数で価値が決まるネット記事は、センセーショナルなタイトルのものが多く読まれ、クリックされないニュースはなかったことになる。その結果、感情を刺激する書き方をした、偏った情報に飲まれるリスクが常につきまとう。」(259頁)ことを本書は指摘している。
次の文章の“フェースブックでは”という文言を“安倍元総理と菅元総理は”と置き換えてみると彼らのことを的確に言い当てているように思える。
『フェースブックでは、自分と違う意見の人がいると苛々するという。そして気づくといつの間にかそういう人は自分の「友達」から消えている。いつも「いいね」と言ってくれる、自分と同じように考えている人だけが残るから心地よい。』(264頁)
★突然の安倍退場 霞ヶ関の「傍流人事」は消える~安倍政権は7年8ヶ月に及ぶ歴代最長政権だった。この間に抜擢された官僚たちが各省で要職にとどまり、安倍氏の影響力維持に奔走している。霞ヶ関では「安倍氏の悪口をうっかり漏らすと通報される。首相退任後も亡霊が彷徨っている」とささやかれていた。安倍氏が隠然たる影響力を維持していたのは、各界に張り巡らせた安倍シンパの存在によるものだ。(2022/07/20 News Scocra)
最近、安倍元総理について論評した記事の中に「よくもこれだけ八方美人を演じられたものと感服せざるを得ない。こうした中でも、韓国の旧統一教会への祝辞はやり過ぎの感があり、それが安倍氏の命取りとなってしまった。」という件がある。私も安倍元総理が統一教会に賛同していたとは思っていない。モラルなき八方美人がこうした結果を生んでしまったように思う。
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統一教会問題で疑惑を持たれている人は、いずれも安倍元総理がモラルなき八方美人でお友達となった人たちだ。いずれも偏った思想の持主ばかりだ。維新の足立氏は国会で民主党をバカ呼ばわりして安倍元総理の歓心を買っていたのが思い出される。
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日頃は、法の支配を強調しながら数々の疑惑を乗り越えるために法令順守に無頓着な黒川元検事長を定年延長で検事総長にしようとしたり、領収書の開示をするだけで「桜を見る会」での身の潔白を証明することができるのに幼稚な言い逃れをしたり、国会で嘘を連発したり、ヤジまで飛ばす姿を知らない国民がいるのだろうか。
安倍元総理の本質は、モラルなき八方美人。選挙で北朝鮮を国難と叫んだかと思えば、トランプ大統領の口添えを借りて金正恩書記との話し合いでの拉致問題の解決を主張したりとおそらく、トランプ大統領やプーチン大統領同様に経済協力で金正恩書記を懐柔するつもりだったのだろう。
挙句は、集団的自衛権の根拠になった中国の習近平主席まで日本に招こうとしていたのだから八方美人振りには驚かされる。しかし、彼の目的は支持率を上げて改憲に必要な勢力を結集し、宿願の憲法改正を実現することだけだったのだろう。
維新の会との協力は反党行為として自民党内で批判が出てもおかしくないのに誰も意見すら言わない。大阪の選挙区が壊滅状態になっても構わなかったのだろう。憲法改正の実現につながるならば誰とでも手を組むことができたのだろう。おそらく、手段はどうでもよかったのだ。決して、安倍元総理の行動は国民のためではなかったように思う。
★日本維新の会 「全国政党」への遠い道 参院選で得た手応えと誤算とは~菅義偉前首相と気脈を通じていた松井氏は、安倍氏とも近い関係だった。安倍氏が首相、菅氏が官房長官だった当時は、両氏らと「忘年会」も開いていた。8日昼過ぎ、松井氏は記者団の取材に「もう、ショックです。個人的には非常によくしていただいてお付き合いしている人ですから」とやつれきった表情で話した。選挙前に安倍氏と電話で「お互い頑張ろう」とエールを送り合っていたことも明かした。(2022/07/29 一般社団法人共同通信社)
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よく、安倍政権の政策をリベラルな野党の政策まで取り込んでと分析する記事があるが、憲法改正につながるなら何でもありの筋金入りの八方美人だったのだろう。憲法改正に反対しない、自分の承認欲求を満たしてくれる人に対してはいい人を演じることができたのだろう。第一次安倍政権の挫折で得た教訓が八方美人だったのかもしれない。
一方で自分の承認欲求を傷つけるような人物は許せなかったのだろう。マスコミから自分を批判する人間を間接的に排除したり、選挙で特定の候補者に1億5千万という法外な支援を行い、自分に批判的な候補者を落選させ、いまだに誰の意思決定で選挙資金の拠出が決まったのか明らかになっていない。自民党の組織運営はブラック企業と変わらない。
こうした問題の放置は、読解力の落ちた国民が増えていることの証なのだろう。どこの国の国民も最大の関心事は、自分たちの利益になる経済だ。だから、「今だけ金だけ自分だけ」という新自由主義やショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)の流れが止まらない。いつまで経っても利益誘導政治はなくならない。結局、それを望んでいるのは国民自身なのだろう。原発も憲法改正すら票で買える商品なのだ。地域の経済的利益の前にはすべてがかすんでしまう。モラルなき強引な手法でも自分たちにプラスであれば、見て見ない振りができる人々がたくさんいるのだろう。
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★安倍元首相葬儀で学校に半旗依頼 川崎市教委「強制してない」~市教委などによると、7月11日に市総務企画局が、市の各施設に半旗掲揚を依頼。これを受け市教委も「安倍晋三元内閣総理大臣の御逝去に伴う弔意の表明について(依頼)」と題した電子文書で、11日から12日までの掲揚を求めた。(2022/08/01 共同通信社)
安倍元総理の基本政策は八方美人だったのだろう。人事権による排除と利益誘導で人心をコントロールできると思っていたのだろう。正直、これだけのことをしておいてアベノマスクを形見にするとSNSに投稿する人がいる。
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しかし、次の記事を読むと官僚の劣化と「政府は必ず嘘をつく」ということがまた証明されつつある。森友学園の文書改ざんは何の教訓にもなっていない。人口だけでなく、権力も一極集中すると碌なことにならない。
★5省29件でずさん管理 基幹統計の公文書巡り~内閣府は28日、文部科学、国土交通など5省について、計29件の基幹統計に関する公文書を内閣府の同意なく廃棄するなどずさんな管理をしていたとの点検結果を公文書管理委員会に報告した。(2022/07/28 共同通信社)
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一連の報道を見ていると安倍氏は、教団とのかかわりで凶弾に倒れたというのが真相のような気がする。許されざる暴力行為であったことは間違いないが、民主主義を破壊することを目的としたテロ行為という情報発信をした政治家や評論家、メディアには、結局、政治的な利用の意図があったのだろう。事件の翌日に喪服姿でテロを許さないと叫んでいた当落選上にあった参院選候補は見事に当選している。
ネットの情報はスピードは速いが、時間とともに短期間で劣化する。情報の精度と質を無視し、スピードと鮮度命の「今だけ金だけ自分だけ」の現在の無責任なニュースをうかつに信じると痛い目に遭うことを肝に銘じるべきだと思う。
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2017年5月の元文科省事務次官の前川氏のスキャンダルを報じたのは、官邸の御用新聞の読売と産経だった。加計学園問題と統一教会の名称問題で前川氏は安倍総理の目の上のたん瘤だったのではないのだろうか。次の記事を読むとそう思わざるを得ない。
自分になびかない人間に対しては御用マスコミにフェーク情報をリークしてまで排除するような人が総理だったのだろう。安倍元総理だけでなく、当時の官房長官だった菅元総理が加担していたことは否定できないだろう。二人にとって意見の異なる前川氏はお友達リストの対象外だったので公務員名簿から削除しただけなのだろう。
本書は、デジタル依存の問題について次のように指摘している。
『マーク・ザッカーバーグはフェイスブックを作った理由を聞かれてこう言った。「かつてネット検索で自分が大切にしている人を見つけた時に、その人とつながる方法がなくて、悔しい思いをいたからだ」 だが、皮肉にも彼の生み出したSNSは、人と人の間の本物のつながりを侵食している。承認欲求を満たす「いいね」ボタンや、増え続ける仮想空間の友人。思想的分裂がエスカレートして、私たちの真のつながりを作る力はすっかり弱められてしまった。』(260頁)
(追記)座布団一枚!
🔗<つぼ買ってくれと言われたら買うのか?>二階元幹事長の暴言に怒りと疑問の声
《いやいや、いくら何でも相手が反社であれば、政治家としてあかんやろ》
《やくざが「選挙手伝うよ」て言ってきたら、「はい、よろしく」と答えるのか?》
《つぼ買ってくれと言われたら、買うのか》
《商売人と同じ感覚って…。そういう感覚で国会議員をやっているの?なるほど、二階さんにまつわる疑惑の謎が解けました》